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愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】

第11章 海誓山盟


雅紀side


なんとか翔君の気持ちを宥める方法はないものかと思うのだか、如何せん制約が多過ぎるし、事が発覚する危険を伴うものばかりだった。


智を連れ出せる日まで後20日ほどはある。

何か口実を見つけて、もう一度だけ‥松本を屋敷から連れ出すか‥。

その間に翔君が智と話をする機会が持てれば、少し落ち着きを取り戻してくれるかもしれない。

けれども鍵が‥‥


和也が上手く鍵を手に入れることができるかに、全てを賭けることになる。

今までは上手く目を盗んで手に入れることができていたけれど、そう何度も同じ危険に晒すことは避けたかった。


もしそれが発覚したら‥

私がその場にいることができない以上、この子たちを守ってくれるものは何も無い。


どうすればいいのか‥


結論が出ないまま馬車は見慣れた道まで来てしまった。




「雅紀さん、俺、澤さんに話すのは怖い‥、あの人は昔からいる人だから潤坊ちゃんの言う事に逆らうなんて考えられなくて‥。」

和也はふるりと身体を震わせて、その恐ろしさを私に伝えた。

「‥‥すまなかった、和也。私も少し気が焦ってしまっていたようだね。」

私は鍵を手に入れることを考え過ぎるあまり、危うく恋人を内通者として松本の前に晒してしまうところだった。


「ごめんなさい‥雅紀さん、俺に意気地が無いばっかりに‥」

「いや、私が無理なことを口走ってしまっただけだ。さっき言ったことは忘れて欲しい。」

腕の中でしゅんと俯いてしまった恋人を強く抱くと、柔らかな髪に口づける。

そうしている間にも松本の屋敷が近づいてきて、恋人を手放さなければならない時も近くなってきた。


「兎に角、数日のうちに必ず松本を屋敷から連れ出す手筈を整えると翔君に伝えるんだ。」

「はい‥、でも鍵は‥‥」


そう‥‥

それが最大の難関であり、突破口‥‥


「松本の父上が持っているかもしれないと言っていたね?」

「はい‥恐らく。屋敷中の鍵は旦那様もお持ちだと聞いたことがあります。」


ならば‥‥


「翔君がその鍵を持ち出すことはできないか‥?」

私は保管されているだけの複数の鍵の中の一つを盗る方が目立ちにくいのではと考えた。


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