愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第10章 智勇兼備
智side
その様子から、酔っていることは容易に見てとれた。
じゃなきゃこんな乱暴なこと‥
僕は息をする間すら与えられず、口いっぱいに猛った茎を捩じ込まれ、喉の奥を突かれては、逆流しそうになる苦い物を、必死で堪えた。
そうでなくても、抵抗する気力すら戻らないのに‥
助けて‥
助けて、翔‥君‥
どれだけ願っても応えてくれることのない人の名を、何度も心の中で叫ぶ。
「どうした、この程度では俺を満足させることは出来んぞ。もっと舌を使って、俺を愉しませてみろ」
まるで穢い物でも見るような‥冷たい視線が僕を見下ろす。
僕はその視線から逃れるように首を振り、咥内を埋め尽くしていた茎を口から出すと、激しく咳き込んだ。
「けほっ‥、今日は本当に具合が悪くて‥だから‥もう‥」
「ふん、俺がそんな手に乗ると思っているのか?」
「嘘じゃない‥、本当に‥。信じて‥」
荒くなる呼吸に肩が激しく上下する。
胸が‥苦しいよ‥
助けて‥
「ほお‥、俺に口答えとは‥。余程轡(くつわ)を噛ませて欲しいようだな。ならばこうしてやろう」
胸を押さえ蹲る僕の後ろ髪を鷲掴み、上向かせた僕の顎に潤の手がかかる。
「大人しく俺の言いなりになっていれば良いものを‥、愚かな奴め‥」
蔑み以外の感情を全て排除した、冷えた視線に見下ろされ、僕の背中を冷たい物が流れて行く。
そして僕の顎にかかった手が乱暴に振り払われると、寝台の上に脱ぎ散らした下帯を手に取った。
「い、いや‥、それだけはお許しを‥」
轡だなんて‥、僕は潤の奴隷なんかじゃない‥
僕は両手を擦り合わせて懇願した。
でも、
「俺に口答えをするなと言わなかったか?」
潤の手が容赦なく僕の頬に向かって振り下ろされ、瞬間、激しい痛みを頬に感じた僕の身体は床に弾け飛んだ。
「いっ‥」
声を上げる間さえなかった。
口に轡が噛まされ、それでも逃げようと床を這う僕の腰が掴まれた。
「うぐっ‥ぅぅっ‥」
剥き出しの双丘を抉じ開けるように、熱く滾った潤の肉棒が突き入れられた。