愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第10章 智勇兼備
俺は恐れを感じ後ずさろうとする智の後ろ髪を掴み、無理矢理に上を向かせる。
そして弾みで開いた赤い唇の前に、肌蹴た寝間着の間から主張する欲望の塊を突き付けて
「俺の次はあの惨忍な男に抱かれてみたいとでも‥?お前はどこまでも淫乱なんだな。」
白い首筋から胸元に滑らせた指先で、まだ柔らかな胸の尖りを弾く。
「いや‥っ、決してそんなことはっ、あっ、やめてっ‥」
どんなに嫌だと騒いだところで、慾に溺れていくことを拒めない淫乱な身体は、指先の与える快感一つで変わっていく筈‥。
そうだろう‥智
お前はそういう男なんだ。
淫慾に弄ばれ‥快楽に溺れて喘ぐだけの玩具。
「残念だが‥俺はお前を手放す気は毛頭ない。こんな面白い玩具は‥滅多にないからな‥。」
いつもなら慾に瞳を揺らし、迷いもなく俺の慾を咥える筈の唇は、それを拒むかのようにそれ以上開くことがないどころか、
「やっ、潤様っ‥お願いします、今日は‥今日だけはっ、堪忍して‥っ‥」
ふるふると首を横に振って、怯えたままの瞳から涙を流した。
「ほう‥色仕掛けの次は泣き落としか?くくっ、お前は男の慾を誘う術を知り尽くしてるようだな。」
お前は自分の姿がどれだけ俺の嗜虐の歓びを掻き立てているのか、わかっていないようだな‥。
赤い唇を濡らし涙を流して、縋るような瞳に慾を煽られた俺のものからは、たらたらと熱が溢れ出していく。
「咥えろ‥お前には堪らない淫慾の火種になるだろう?」
俺は半端に開いた唇に、熱に濡れた猛りをあてがう。
ところが‥
「いやっ‥、じゅん‥さまっ‥」
智は後ろ髪を掴まれながらも顔を背けようとして‥
その従順にならない身体に苛立った俺は、胸元を嬲っていた手で襦袢の襟を掴み寝台に押し付けた。
「お前は自分の立場がわかっていないようだな。」
苦しげに顔を歪める喉元をじりじりと締め上げ、そこに跨がり
「所詮‥俺の慾を咥えることぐらいしか許されてないってことをな。」
冷たい言い放つと、息を継ごうと喘ぐ唇に己の慾望を押し込んだ。