愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第1章 愛月撤灯
雅紀side
美しい指先が私を誘う‥
はらりと解かれた胸もとからのぞく白い肌。
隠されていた甘く妖艶な香りが閉ざされた空間にフワリと解き放たれ、一瞬ここがどこかさえ忘れさせてしまう。
そしてひとつ‥
またひとつと私の理性の釦を外そうと‥
‥‥いけない‥
こんなところで‥
そう思うのに、一度放たれた香りに‥甘い囁きに誘われ、艶めく唇に舌を這わせると、それは甘さを増して全てを食べ尽くしてしまいたくなる。
こんなにも狂おしい想いがあるなんて
‥‥知らなかった。
君を失いたくないんだ‥
‥‥決して悟られてはいけない‥。
君とのことを誰かに知られれば、私たちはひとつ屋根の下に住まうことは叶わなくなる。
ああ‥なんと言えば、君に焦がれるこの想いが伝わるんだろう。
もどかしさのあまり躊躇う私を手放すような仕草に、益々胸の中が掻き乱されて‥
せめて腕の中に留めておくことができるならと、華奢な身体を想いの分だけ抱きしめた。
「嬉しい‥。僕も雅紀さんが好き。」
そう抱きしめ返してくれる君に、全てを捧げてしまいたくなる。
どれだけ言葉を紡いでも、何度肌を重ねても‥
君をこの腕に閉じ込めておくことができないもどかしさ。
焦れるほどに燃え上がる禁断の想い。
妖しい焔を揺らめかせる瞳は、俺の中にある埋み火のごとき情欲を、いとも容易く燃え上がらせてしまう。
君を‥いつの日か君を私だけのものに‥‥
不意に煽られるように馬車は揺れ
「すまない‥こんなにも智のことを好きになってしまった私を‥臆病な私を許してくれるかい‥?」
抱きしめたまま滾る想いだけを注ぎこむ。
「ええ‥そんな雅紀さんだから‥僕のことを大事にしてくれるから‥。」
‥僕はあなたのもの‥
そう囁く赤い唇を奪うように自分のを重ねると、ねっとりとした咥内を舐めまわすようにして舌を絡めとる。
「‥ん‥‥っ‥ん‥‥」
淫靡な水音に混じって洩れだす吐息が甘さを含み、服の上からその肌を弄る。
しっとりとした柔肌を思い浮かべながら‥
その肌が薄紅色に染まっていくさまを思い浮かべながら‥私は智の肌を隠すシャツの隙間から手を入れてしまう自分が止められずにいた。