愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第9章 愛及屋烏
和也side
「一緒にいる‥ではなくて、抱かれてと言ってくれてもいいんだが」
言われて初めて、自分が本当に雅紀さんの物になったんだ、って実感したら途端に恥ずかしくなって‥
赤くなった顔を誤魔化すように、わざといじけたような顔をして見せた。
なのに雅紀さんたら‥
「昨夜は私のこの腕の中で、今にも蕩けてしまいそうに妖艶な表情(かお)をして、私を求めていたというのに‥」
俺の頬をするりと撫でたりするから、俺‥
「ひゃっ‥」
敏感になった身体が反応してしまう。
「ん?どうした、声など上げて‥」
「い、いえ‥、なんでもありませんからっ‥」
覗き込んでくる視線から逃れるように、俺は雅紀さんに背中を向けた。
もし気付かれたら、また‥
と、思った時にはもう遅くて‥
「あっ‥、そん‥なっ‥」
背中から回された雅紀さんの手が俺の腹を通り、僅かに反応した茎に触れた。
「愛し合ったというのに、まだ足りなかったようだね?」
「ち、違います、これは‥」
「照れずとも良い。和也は若いんだから‥。ただ、これ以上は和也の身体に負担をかけることになる。残念だが、楽しみは次の機会にとっておくとしよう」
良かった‥。
そう思う反面、少しだけ残念に思わなくもないけど、また次に会った時には‥
考えただけで胸が弾んだ。
「さて、そろそろ朝食の時間だが‥起きれるかい?もし無理であれば、ここに運ばせるが‥」
そうか、そんな時間なのか‥
胸が高鳴って、時計を見る余裕もなかった。
俺は上体を少しだけ起こすと、壁に掛けられた時計に目を向けた。
その時、腰に鈍い痛みを感じて、思わず顔を顰めた。
「あの‥大丈夫‥じゃないみたいです‥」
あまりの痛みに、涙目で雅紀さんに訴えた。