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愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】

第9章 愛及屋烏



薄明るくなりかけた部屋の中、微睡みながら抱き寄せた身体の温かさに頬が緩む。


もう不安になることは無い‥。

私が愛しいと思うのは‥守りたいと思うのは和也しかいない。

こんなにも温かな存在を胸の中に抱くことができる私は幸せだよ。

和也が目覚めたら、そう伝えたかった。


初めて私を受け入れてくれた身体は、健気で‥そして美しかった。

愛くるしい姿に心惹かれ‥美しく色づいていった姿に心奪われ、自制できずに求めてしまうほど。

疲れて眠る恋人の髪を梳き頬を撫でながら、その目覚めを待った。



やがて朝の気配が色濃くなり始め、静かだった寝息が乱れ睫毛を震わせると

「ん‥っ、ぅん?」

和也は寝惚けた声を出して目を覚ました。

「よく眠れたかい‥?」

まだ半分眠りの中にいる恋人の鼻先に口づけると、擽ったそうに笑みを洩らす。


どうやらまだ夢の中にいるようだな‥。


「まだ夢の続きを見たいのなら、私も一緒に見たいのだが‥。」

そう言って、微笑みを残す唇に軽く口づけると、薄く開いたなかから吐息ともとれる息が洩れた。

可愛らしいそれに気を良くした私は、小さな唇を啄ばみ‥頬を擽ぐる。


でもしばらくすると、

「ふぅっ‥ん、‥んっ‥?」

薄っすらと目を開けた和也は、自分が何をされているのか気が付いたらしく、その目をまん丸にした。


「くくっ、ようやく姫君がお目覚めのようだね。」

「ま、雅紀さん‥おれ、なんてことをっ‥」


慌てて口元を隠すその狼狽えぶりがなんとも初々しくて、つい吹き出しそうになってしまう。

昨日の夜、快楽に喘いでいた姿は何処へやら、口づけだけで頬を染める様がなんとも愛くるしい。


「和也は寝惚けていても私の心を解してくれるのだな。毎朝こうして目覚めを迎えられたら、どんなにか幸せだろうね。」

私はいつかそんな日を迎えたいと願いを込めて、可愛い恋人の髪を撫でた。


「俺も‥雅紀さんと、その‥一緒にいられたら‥」

途中、言葉に迷い恥ずかしそうに口籠る和也。

「一緒にいる‥ではなくて、抱かれてと言ってくれてもいいんだが。」

初々しい恋人を少しだけ揶揄ってみると、益々顔を赤くした和也は、ぷっと頬を膨らませた。



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