愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第9章 愛及屋烏
階段を駆け上がり、雅紀さんの部屋に飛び込むと、乱れた呼吸を整える間もなく布団に潜り込み、覚めることなく熱を持った茎にそっと触れた。
俺はなんて厭らしい‥
風呂での行為を思い出した途端、急に恥ずかしさが込み上げてきて、頭から布団を被ると、耳を澄ました。
直に雅紀さんが戻って来る。
そしたら俺‥
徐々にこちらに向かって近付いてくる、きしきしと板を踏み締める音が、まるで早鐘のように打ち鳴らされる心臓の音で掻き消される。
煩い‥煩い煩い‥!
鎮まれ、俺の心臓‥
願えば願う程に大きく鼓動する胸をなんとか鎮めたくて、寝巻きの襟を手繰り寄せた。
そして、部屋の扉が開かれた気配がした瞬間、俺は布団の中で瞼を固く閉じた。
「私の可愛い恋人‥、どうか顔を見せておくれ?」
きしりと寝台が揺れ、布団の上から背中を撫でられる。
「い、いや‥です‥」
きっと笑われる‥
それくらい、自分の顔が赤くなっているのが分かった。
「やれやれ、困った子だね、私の和也は‥。言った筈だよ、君に私を拒む権利はないとね?」
そうだけど‥
だけど‥
「そ、それは‥分かってます。でも俺‥今顔見られるの‥恥ずかしい‥」
「そうか‥、ならばこうしよう。和也は顔を隠したままでも良いから、身体に触れても構わないだろうか? ‥口付け出来ないのは、少々残念だが‥」
「そ、それなら‥」
俺は布団の中でこくりと頷いた。
すると、漸く温まった布団に隙間風が入り込み、同時に熱く火照った手が俺の寝巻きの前を開いた。
「下帯は着けて来なかったんだね?」
「だ、だって、どうせ脱がしておしまいになるんでしょ‥?」
それに、この状態で締め付けられては、一溜りもない。
「良い心がけだ」
開いた裾の間から、雅紀さんの手が忍び込み、俺の内腿をするりと撫で上げた。
そして俺の茎の先端にそっと触れると、そこから溢れ出る蜜を指で絡め取るように、ゆっくりと手を上下させ始めた。
「あっ‥あぁっ‥、そんなことをされては‥」
そうされるのを待っていたかのように、俺の足が自然に開いて行った。