愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第9章 愛及屋烏
和也side
たっぷりとした湯の中で、雅紀さんの膝の上に乗せられる。
「えっ、うわぁっ」
思わず驚きの声を上げた俺だけど、本当はそれだけじゃない。
同じ男だからこそ分かる、俄かに硬くなった雅紀さんの茎を、直接肌で感じてしまったから‥
「ここは声が響いてしまうから、何があっても大きな声を出してはいけないよ?」
背中から抱き締められ、囁かれる声がやけに耳に響いて、なんだか不思議な気分だ。
「まだ家人も起きている時間だから、驚かせてもいけないだろう」
雅紀さんの足の間に座らされ、背中が引き寄せられると、一滴の湯すら入り込む余地が無い程に密着した肌に、動悸が激しくなる。
きっと熱い湯に浸かってるせい‥
自分に言い聞かせるけど、さわさわと俺の腰を撫でる手と、直に感じる雅紀さんの熱い猛りが、そうではないことを知らせる。
どう‥しよう‥
声、抑える自信‥ない‥
「雅紀さん‥ここ、風呂場なのに‥そんな風にされると変な気分になってしまいます‥」
今にも零れそうになる息を堪えて、抗議するけど‥
「ほう‥変な気分とは、どんなものなのかい?」
熱い吐息を混ぜた声で耳元で囁かれ、内腿を撫で上げられると、それだけで全身に甘い痺れが湧き上がって来る。
ううん‥、痺れだけじゃない‥
もっと‥もっと触れられたい‥
一瞬芽生えた欲求に、俺は両手で包んでいた雅紀さんの手に唇を押し当てた。
そして少しだけ視線を上向かせると、
「お願い‥です‥。焦らさないで‥」
乱れ始めた息を隠すことなく、肩越しに口付けを強請り、胸元で結んだ手を湯の中に引き込んだ。
俺の秘めた慾情を煽るように内腿を撫でる手はそのままに、引き込んだ手をじれる焦れる茎の先端に触れさせた。
自分から、なんて恥ずかしくて堪らないのに‥
なのに自然に動き始めた手が止められなくて、
「ん‥っ‥」
思わず漏れそうになる声を、咄嗟に唇を噛んで堪えた。