愛慾の鎖ーInvisible chainー【気象系BL】
第6章 籠鳥恋雲
僕は無心で潤の茎を口いっぱいに頬張った。
舌を絡めては吸い、吸っては舌を絡めて‥
口の中で徐々に膨らみを増していくのを愉しむように、一心不乱に口と頭を動かした。
「それがお前のやり方か‥。そうやってお前は‥‥」
そうさ、これが僕のやり方だ‥
「この売女(ばいた)が‥‥」
好きなだけ蔑めばいい‥
これが何も持たない僕に、唯一残された生きる術なのだから‥
僕は硬くなった茎を一旦口から出すと、潤の上衣の襟に手をかけ、それを肩から引き下ろした。
そしてシャツの釦を一つ一つ外して行き、外気に晒した潤の引き締まった胸板に唇を寄せた。
わざと水音を大きく響かせながら、白く滑らかな…まるで石膏像のような肌に唇を落として行く。
手は茎を握り込んだまま‥
「憐れなものだ、あいつも‥‥、お前も‥」
胸の先を吸う僕の前髪を鷲掴み、僕の顔を上向かせると、そこに被さるように唇が重ねられた。
嚙みつくような‥獣の口付けに、痩せ細った足は堪えきれず、ぶるぶると小さく震え出す。
それでも僕は唇を離すまいとして、潤の肩に両腕を巻き付けた。
「ん‥、ふぁ‥‥」
月明りだけが差し込む静寂しかない部屋に、どちらとも区別のつかない水音と、乱れた呼吸音だけがやたら大きく響いた。
やがて僕の息が続かなくなったころ、漸く唇が解放され、僕は脱力したようにその場にずるずると崩れた。
「なんだ、これで終わりか?」
まさか‥
そんなつもりは毛頭ないさ‥
僕は冷たい板敷の床に両の膝と肘を着いた格好になると、秘部が見えるように後ろに回した手で押し広げた。
「ここに‥下さい‥、貴方を‥‥」
「ふ‥、忘れたのか?その手は食わぬと言ったろう?」
あの時のことを言っているのか‥初めてこの男と対峙した時のことを‥‥
でも、僕だってあの時の僕とは違う‥
僕は広げた双丘を潤に見せつけるように、腰をゆらゆらと揺らして見せた。
するとどうだ‥
潤が着ていた上衣を脱ぎ捨て、床に落とした。
その時、懐からこつんと奇妙な音がしたのを、僕は聞き逃さなかった。