第10章 好きなのは…?
「えっと…今何て言ったの…?」
突然の松本くんの言葉に
訳がわからずそう聞き返した私に
松本くんは
「だから僕は先輩が好きです(笑)
ちゃんと聞こえました?」
なんて可笑しそうに笑いながら
首をかしげて…
「いやいや聞こえたよ…(汗)?
聞こえたけど…それは…
それにさっきも言ったけど私には…」
「はい、僕もちゃんと聞いてましたよ(笑)
付き合ってるのか付き合ってないのか
微妙な感じの人がいるんですよね?
悩むぐらいだったら僕にしときません…?
僕こう見えて一途ですし…
おすすめですよ(笑)?」
そう言って
テーブルの上に置いていた私の手に
松本くんの手が重なる…
普通ならここは
どきっとしたり
心が揺さぶられたり
するところなのかもしれない…
でも私は
どきっとするどころか
そんな松本くんの言葉にいらっとして
「ちがうでしょ…それは?
相手の言動一つで上がったり下がったり
そういうのしんどくて苦しいけど
そういうの全部
相手が大好きだからで…
楽なだけな相手なんか
私はいらない…
死ぬほど苦しくても
死ぬほど悩まされても
私が欲しいのは
たった一人だけなんです!!!」
なんて勢いよく叫んで
私の手に触れる松本くんの手を
べしりと振り払い
「話はもう終わり!
また明日会社でね?」
そう言って
驚いたように私を見つめる
松本くんを残して
店を飛び出した…