第3章 居心地のよい場所
「あぁ…もう…ほんと…
渋谷さんの言うとおりですよね?
なんでそんな簡単なことに
今まで気付かなかったんだろうなぁ(笑)」
なんてゲラゲラと笑いながら
笑ったせいなんか
悲しいからなんか
涙を目に浮かべて
それを隠すように下を向くお隣さんの頭を
「それは…
そんなことも解らんなるほど…
相手を好きやったって
ことやろ…」
そう言ってテーブル越しに"よしよし"と
撫でると
「優しくするのか…けなすのか…
どっちかにしてくれません(笑)?」
なんてお隣さんは
泣き笑いのぐちゃぐちゃな顔で
睨み付けてくる…
俺だってそうしたいけど
仕方ないやんか…?
おいしくて温かいご飯を
いつも笑って出してくれる
お隣さんが
いつだって居心地の良いこの場所で
そんな風に泣く姿を
なぜか見たないやから
そりゃもう
仕方ないやんか…?