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ハリー・ポッターと純血の守護者

第10章 【blood】


 ハリー曰く、今度のハロウィーンの日がちょうどニックの500回目の絶命日に当たるので、地下牢を1つ借りて友人知人を集めてパーティを開くそうだ。先程廊下でニックに会って誘われたと喜ぶハリーだったが、クリスは鼻息一つで一蹴した。

「はっ、絶命日パーティだって?そんなのいく価値も無いね」
「でも、僕もう行くって言っちゃったんだよ」
「行くって言ったのはハリーだろう?私には関係がない」

 どうせ幽霊の開くパーティなぞ、ノクターン横丁さながらの暗い雰囲気が漂い、薄気味悪い幽霊がわんさか集まって、自分が死んだときの話を自慢げに語るのだ。食事を取らない幽霊のパーティでまともな料理が出てくるとも思えないし、それより何が楽しくて自分が死んだ日なぞを祝わなくてはいけないのだろう。クリスはハリーの話を聞いて楽しそうにしているロン達が信じられなかった。

「大体ゴーストのパーティなんて碌でもないに決まってるだろう。行って何話すんだ?『あら貴女、素敵なドレスですこと。それ何世紀前の流行ですの?』『そういう貴方は青白い顔が今日は特に真っ青でしてよ』って言うのか?」
「ちょっ……クリスッ!」
「それともあれか?『やあニック、今日は500回目の絶命日だけどどうだい?この500年無職で城をふらふらしていた気分は?』『最高だね、特に皮一枚だけ残っているこの首を、新入生に見せるときの反応は』」
「ダ、ダメだよそれ以上は――」
「ダメ?何がダメって……ああ、地下牢の装飾か。まあまともじゃないだろうね、クモの巣の張ったシャンデリアに埃の積もったテーブルクロス。ボロボロに引き裂かれたカーテンがひらひらと舞い。そして仕舞にはガラスを爪でひっかく葬送曲」
「クリス、後ろよ!」
「後ろ?」

 引きつった顔の3人につられてクリスも後ろを振り返ると、なんとそこには黄ばんだ封筒を4つ手にしたニコラス・ド・ミムジー・ポーピントン卿、通称『ほとんど首なしニック』本人がたたずんでいた。

「私……私、あなた方に正式に招待状をお渡ししようと――」

 ニックの唇はぎゅっと結ばれ、手にした封筒はぷるぷる震えている。ゴーストだから顔色までは分からないが、きっと生きていたら真っ赤にしていただろう。これは流石に口が滑ったと思ったクリスだったが、逆を言えば丁度良い機会でもあると思った。
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