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ハリー・ポッターと純血の守護者

第10章 【blood】


「おいおい、僕らをいらないって言ったら、どんな男だってこの世からいらないことになるぜ」
「そうだとも、こんなに頭脳明晰、運動神経抜群、おまけに喧嘩が強い上に男前ときちゃ……」
「「兄妹にしとくにゃおつりがくるぜ!」」
「2人とも談話室が濡れるからさっさと着替えてこい」
「冷たいっ!この10月の雨のように冷たいっ!」
「そんな奴はこうしてくれる!」

 「えいっ」と言うと、双子の片割れが濡れたローブのまま抱きついてきた。それを見てもう片方も反対側から抱きついてきた。折角暖炉の前に座っていたのに、これじゃあ何のために暖を取っていたのか。いや、だからこそ抱きついてきたのだろう。クリスに引っ付きながら「ああ温い温い」とか「これぞ人間湯たんぽ」と言い合っていた。双子が十分温まった頃には、クリスの服もびしょびしょに濡れていた。

「分かったかいクリス、これぞ兄妹のふれあいってものさ」
「これで少しは家族の温もりってものが分かっただろ?」
「分かるか!逆に寒くなったわ」

 歯をガチガチ言わせながら言い返すと、フレッドとジョージは「クリスもまだまだおこちゃまだな」と言って笑いながら男子寮へと帰っていった。湿った機嫌から一転、いつもの調子に戻ったクリスは双子に復讐の炎を燃やすと、大きなくしゃみを一つしながら自分も着替えてくると言って部屋へ戻っていった。
 相変わらず双子のクリスの扱いのうまさに、ハーマイオニーはそばで見ていて舌を巻いた。

 クリスが談話室に戻ってくると、ハリーも着替え終わって3人でなにやら話し込んでいた。クリスが先ほど座っていたお気に入りの暖炉の前は、既にフレッドとジョージとリーが陣取っていて、また悪戯をして皆の注目を集めている。それを横目で見ながら、クリスは3人の座っているソファーのそばに座った。

「クリス、丁度いいところに来た」
「どうしたんだ?」
「今度のハロウィーンの日、ほとんど首なしニックの絶命日パーティにいかない?」
「絶命日パーティ?」

 それを聞いて、クリスはいやな予感しかしなかった。絶命日とは、己の死んだ日のことだろう、それを祝うのなんて趣味が悪いにもほどがある。
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