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ハリー・ポッターと純血の守護者

第9章 【心の声】


 純血主義の家に生まれたクリスは、大人達がそう呼ぶのを聞きながら育ってきた。それはドラコとて一緒だ。実際ドラコがハーマイオニーの事をそう呼ぶのを聞いたこともあるが、それを隠れて言うのと、本人を目の前にして言うのとでは訳が違う。
 ハグリッドはヒゲをぷるぷる震わせると、ドカッといすに座り込んだ。あまりの衝撃に家が揺れ、吊るしてあったフライパンやら鍋やらがぶつかってカンカンと音を立て、ロンは大量のナメクジを吐いた。ハグリッドはイスごと子供たちに近づくと、まるで言ってはいけない事の様に声をひそめた。

「いいか、『穢れた血』っていうのは、純血主義――つまり純血の者だけが本当の魔法使いだって考えてるスリザリンのような奴らが良く使う最低最悪の言葉だ。意味はマグルから生まれた……両親が魔法使いじゃねえ人ってことだ。『例のあの人』が力を振るっていた時代、それだけが理由で沢山の魔法使いが殺されたんだ」

 シーンとした静寂が辺りを包んだ。そう、これは決して冗談なんかでは使ってはいけない言葉なのだ。ロンが小さく呻くと、また口からナメクジが垂れてきた。その背中をハーマイオニーが優しくさすっている。ロンは小さく「ありがとう」と言うと、苦々しく顔をゆがめた。

「最低だよ、『穢れた血』だなんて。マグル生まれがいなきゃ僕達とっくに絶滅してるって言うのに」
「そりゃ、お前さんが呪いをかけたくなるのも分かるな。だが良かった、これがまともに当たってたら今度は父親の方が学校に乗り込んできたかもしれん」

 その様子を想像して、クリスは糖蜜パイをごくりと飲み込んだ。夏休みにフローリッシュ・アンド・ブロッツ書店で見せた大乱闘を思えば、ロンを退学に追い込んでも不思議じゃない。それにしてもロックハートといいドラコといい、本当にブロンドに良い奴無しだとクリスは確信した。

 それからドラコに対する悪口を散々ぶちまけた後、ロンのナメクジ症が治まるのを待ってから、4人はハグリッドに連れられて小屋の外にある畑にまで足を運んだ。
 畑を見て、4人は目を大きくした。まるで巨大な大岩のようなかぼちゃが、辺りにごろごろ転がっている。ハグリッド曰く、ハロウィーン用の特別なかぼちゃらしい。「肥料は?」と訊ねたハリーにハグリッドは「あー」だの「うー」だのいって誤魔化していた。
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