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ハリー・ポッターと純血の守護者

第9章 【心の声】


 何とか止める方法ない?と聞くハリーに対し、ハグリッドは大きな洗面器を一つ渡すだけだった。ハグリッド曰く、もうこうなったら止めるより出し切ってしまう方が良いらしい。よっぽど我慢していたのか、ロンは洗面器を渡されたとたん一気にナメクジを吐き出した。その背中を、甲斐甲斐しくハーマイオニーがさすっている。
 ハグリッドは3人分のお茶をいれ、茶請けに糖蜜パイをだしたが、ロンの吐くぬめぬめとしたナメクジを前に誰も手をつけようとしなかった。

「で、なんでまたドラコに呪いをかけようとしたんだ?」

 クリスの問いに、ハリーとハーマイオニーは顔を見合わせて少し困ったように眉を下げた。代わりにロンが説明しようと顔を上げるたび吐き気が襲ってくるのか、再び洗面器の上に顔を戻した。少し迷った末、ハリーがしどろもどろと説明を始めた。

「僕たちがクィディッチの練習をしてたら、突然スリザリンのチームが割り込んできたんだよ。マルフォイが買収して新しいシーカーにおさまった事を良い事にね」
「買収!?」
「そう、先月出たばかりのニンバス2001を事もあろうかチーム全員に買い与えたんだ。それで奴らは鼻高々、散々グリフィンドールのことを馬鹿にしてくれてさ、庇ってくれたハーマイオニーに対して何だっけ……何とかって言ったんだ。そしたら突然喧嘩が始まって――」
「――穢れた血さ」

 一瞬だけロンが洗面器から顔を上げると、またゲーゲーとナメクジを吐き出した。マグル育ちのハリーとハーマイオニーは始めて聞いたのだろう。その言葉の意味が分からず、少し困ったように首をかしげて「ねえ、穢れた血って何?」と聞いてきた。それを聞いてハグリッドは猛然と立ち上がった。

「そんな事、本当に言ったのか!?」
「ええ言ったわよ、でも私何のことかぜんぜん分からなくて……もちろん悪口を言われたんだということは分かったけど」
「悪口なんかじゃねえ、そりゃ完全なる侮辱だ!」

 「あのじゃが芋男~!!」と、クリスは聞いていて頭から火が出る勢いで怒りがこみ上げてきた。そんなに土の下に眠るご先祖様が大事か!クリスは糖蜜パイを一つ取ると、力任せに噛み砕いた。
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