第1章 The summer vacation ~Draco~
あくびをかみ殺しながら、再び手すりに頬杖をついて時々思い出したように夜空を眺めつつ、ドラコはクリスの横顔を観察する。こっちの方が、変化がある分まだ退屈しない。
「やっぱり今夜は特別だな、こんな短い時間でもう17個も見えた」
「へえ、僕はまだ3・4個しか見てないな」
よっぽど星が好きなのだろう。やる気のない声で言うと、嬉々とした表情をコロリと変え、クリスは批難じみた横目でドラコを睨みつけた。
「……お前、本当にちゃんと見てるのか?いいやむしろ、見る気あるのか?」
「正直言って君の百面相を見ているほうが面白いな」
「ああもうっ!お前には星を愛でる心がないのか!今年は母天体が133年ぶりに回帰する年なんだぞ、これがどれほど重大な事か分かってるのか!?」
「別に、133年後また見ればいいだけの話じゃないか」
ドラコの言葉に、クリスはぽかんと口を開けた。