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ハリー・ポッターと純血の守護者

第1章 The summer vacation ~Draco~


「いいだろう、それで何を賭ける?」
「そうだな『負けた方が、勝った方の言う事を何でも聞く』っていうのはどうだい?星に願い事をするより、その方がよっぽど確実だ」
「その賭け乗った!」

 間髪いれず、クリスが2つ返事で飛びついてきた。その顔には婚約破棄の字がはっきり見て取れる。目には迷いがなく、すでに自分の勝利を確信しきっていた。
 しかしドラコだって負ける気は毛頭ない。何があっても自分がシーカーに選ばれると言う絶対的な自信があった。そうでなければこんな賭けを言い出すわけない。

「喜ぶのはいいが、クリス。あんまり期待しないことだな。悪いが賭けに勝つのはこの僕だ」
「少し自分の実力を過大評価しすぎているんじゃないか?お前よりいい選手なんて大勢いるぞ」
「さあ、どうだろうね……まあ、結果は学校が始まればすぐに分かるさ」

 その自信の裏には、先日発売されたばかりの超最新式モデル、ニンバス2001の存在があった。昨年発売された2000と比べると、その性能はスピード・持久力・耐久性・装備の全てにおいて向上している。まだ手に入れたわけではないが、それさえあればチーム入りできぬはずがない。
 すでに結果は見えているのだ。ドラコは密かにほくそ笑んだ。

「ま、君はせいぜいお星様にでもお願いしておくんだな。そうすれば万に一つでも勝てる可能性は出てくるかもしれないよ」
「その台詞、そのままそっくり返させてもら――っああ!今、今2ついっぺんに流れたぞ!」

 会話の途中だったのに、クリスの興味はもう流れ星へと戻っていた。こうなると、ひとり夜空に見入る彼女の赤い瞳はもうドラコの姿など映してはいない。昔からそうだ、クリスは一旦興味を引かれると、もう他の事は目に入らなくなってしまう。

「うわあ……なんだか夢みたいだなあ。まさか2つ同時に見られるなんて」

 こんな簡単に自分から意識をそらされるのは面白くないが、星空に嫉妬するのもバカらしい。
 それにしてもこれだけ眺めていても飽きないものだと感心する。悪いがドラコはとっくに夜空の観察には飽き始めていた。だがクリスの意識はまだ星空の彼方で、暫くは部屋を出て行くつもりはなさそうだ。
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