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ハリー・ポッターと純血の守護者

第8章 【嵐を呼ぶオトコ】


【問題】
1. ギルデロイ・ロックハートの好きな色は?
2. ギルデロイ・ロックハートのひそかな大望はなに?
3. 現時点で、ギルデロイ・ロックハートの業績の中で、一番だと思うものは何?
4. ギルデロイ・ロックハートが、これまでの人生の中で……
                  

 こんなくだらない質問が、裏表3ページわたって54問まで続いていた。ドラコを遥かに超える自己主張とナルシズムにあふれた人間を見て、クリスは背筋に毛虫が張ったような気分がした。今すぐこの場でテストを破り教室を出て行きたかったが、新学期早々そんなに事件を起こしていられない。
 こうなったら自棄だと、クリスはテストをにらみ付けると羽ペンを豪快に走らせた。

 30分後、ロックハートはテスト用紙を回収したが、その顔はがっかりしていた。当たり前だろう、あんな下らない問題を54問読んだだけでも苦痛なのに、まともな正解者などいるわけがない。ロックハートはこれぞ悲劇とばかりに大仰に嘆いて見せたが、ただ一人、クラス中の期待を裏切るものがいた。

「ミス・グレンジャー!」

 突然名前を呼ばれて、ハーマイオニーはまるでバネ仕掛けのおもちゃの様に勢い良く飛び上がった。

「素晴らしい!あなたはこの私の偉業を良く理解し、夏休みの間に良く勉強したようだね。特に32問目『ギルデロイ・ロックハートの社会問題における悩みとは何だ』では、まさに理想的とも呼べる完璧な答えを示している。これほどまでに深く物事を理解しているとは……グリフィンドールに10点差し上げましょう!」

 ハーマイオニーは、まさに顔から火が出んばかりに真っ赤になっていた。ロックハートもハーマイオニーの回答に気を良くしたのか、笑顔でテストをめくり返していたが、あるテスト用紙を見て、ぴたりと手を止めたまま、次第にプルプルと震え始めた。

「ミス・グレイン!」

 今度の声は、ハーマイオニーのときと比べ喜びなど微塵も感じさせなかった。しかしテスト用紙から顔を上げたロックハートの表情は、強張ってはいたものの、笑顔を崩してはいなかった。流石はプロだと、クリスは妙な関心をしながら席を立った。
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