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ハリー・ポッターと純血の守護者

第8章 【嵐を呼ぶオトコ】


 教室に着くと、ハリーとハーマイオイニーは既に教室の一番すみに席を取っていた。ハリーはあらゆる教科書で机の上に防壁を作りムスッとしており、ハーマイオニーは授業が待ちきれないといった様子で既に教科書を開いていた。
 意外だったのはハーマイオニーが教卓の一番前を陣取らなかったことだ。彼女なら真っ先にロックハートに一番近い席を取ると思っていたのに。しかしよく観察してみると、ハーマイオニーは教科書に熱中しながらも、教室の扉が開くたび「キャッ」と小さく悲鳴を上げては、入ってきた生徒を見て残念そうに教科書に視線を戻していた。

 2人に席をつめてもらい、クリスとロンも席に着いた。4人分の教科書から輝かんばかりのチャーミングスマイルが飛び交うのを見ると、知らず知らずのうちに顔が引きつった。だが、それでも笑っているだけなら本人より実害がないことが、今日証明された。

「やあ、みんなおはよう!いい天気だね!!初日からホグワーツで私の教えをこえるとは、諸君らはなんてラッキーな生徒なんだ!」

 例の派手なトルコ色のローブをはためかせ、颯爽と教室に入ってきたロックハートを見て、ハーマイオニーを含め1部の女子が喚起の声を上げた。反面、クリスを含め男子一同は落胆のため息を漏らした。しかしロックハートにそんなため息など耳にも入らない。彼は自分自身がでかでかと載った教科書を皆に見えるように高々と掲げた。

「自己紹介は――もう必要ないだろう。これらの本に載っていることを読めば、私についてほとんどのことが書いてある。たとえば勲三等マーリン勲章、闇の力に対する防衛術連盟名誉会員……他にも色々な賞をいただいているのはもう知っているだろう。そこでだ、今日はまず初めに君たちがこの休み中にどれだけ教科書を読んだのか、試すため小テストをやってもらいたい」

 ハリー、クリス、ロンの3人は苦虫を噛み潰したような顔をした。
 その間で、ハーマイオニーだけがまるでこれから戦にでも行かんばかりの真剣なまなざしを見せていた。まちがいない、彼女はこの小テストに命を懸けている。
とうとうテスト用紙が回ってくると、クリスは問題用紙を見てもう少しで絶叫することころだった。
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