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ハリー・ポッターと純血の守護者

第7章 【有名人の憂鬱】


 あんなに方を捕まれては、ハリーは逃げようにも逃げられない。コリンはあたふたとカメラをセットすると、嬉しそうに何枚もシャッターを切った。それを見て影で腹を抱えているドラコたちを見て、クリスは迷うことなく杖を振り上げたが、ロックハートの前でハーマイオニーがそんな事を許すはずがなかった。
 そんな事をしているうちに予鈴が鳴り、可哀想なハリーはそのままロックハートに引きずられる様にして廊下を去っていってしまった。そしてハーマイオニーも、糸の切れた凧のようにふらふらと2人を追いかけて姿を消してしまった。
 ハリー達がいなくなると、笑いをせき止めていたドラコ達が、一斉に大声を上げて馬鹿笑いを始めた。

「見たかい、あの様!あれが英雄様のお姿だとさ!!」
「いい加減にしろマルフォイ!これ以上ハリーを笑いものにすると痛い目を見ることになるぞ!!」
「へえ?どんな痛い目だいウィーズリー、教えて欲しいもんだな。もしかして吼えメールが山のように送られてきたりするのかい?」

 今朝のロンの失態を持ち出して、ますます声を上げて笑うドラコ達に、ついにはクリスだけでなくロンも杖を取り出した。しかし取り出された杖はボロボロで、杖先からは黒い煙がシューシューと噴出している。これではまともな魔法が使えないのは明白だ。
 その時、クリスの脳裏にふと名案が浮かんだ。髪よりも顔を真っ赤にして苦虫を噛み潰したような顔をするロンに、ひそかに耳打ちすると、ロンはニヤリと口角を持ち上げた。

「ほら教えてくれよウィーズリー、どんな痛い目を見せてくれるんだい?」
「それはな……これだあああああああああああーーーっっっ!!!!」

 ロンの合図を皮切りに、クリスとロンでドラコの両側を押さえると、そのまま耳をつかみ耳元に向かってあらん限りの大声で叫びまくった。その威力は流石にマンドラゴラには及ばないだろうが、廊下中に反響するほどの大声を直接耳元で叫ばれたのだ。ダメージがないはずがない。

「どうだ、少しは思い知ったか……って、聞こえてないか」

 思いもかけない攻撃に、ドラコは額をおさえて目をぐるぐるまわしている。それを見たロンとクリスは景気よくハイタッチを交わすと、ドラコを支えつつキーキー喚き立てるパンジー達をそのまま置き去りにして意気揚々と廊下を後にした。
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