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ハリー・ポッターと純血の守護者

第7章 【有名人の憂鬱】


 パンジーの嫌味に一言も返せないなんて今まで1度もなかったことだけに、クリスにとってこれ以上の屈辱はなかった。ドラコはなんとか取り成そうとしたが、これほど優位に立ったことのないパンジーはさらにクリスに追い討ちをかけた。

「そうだわ、どうせだから教えてくれない?“マンドレイクの泣き声”はどんな感じたったのかしら。残念だけどマンドレイクの植え替えに“失敗した人”なんて、“貴女以外いないから”」

 嫌味たっぷりに、パンジーは通りかかる人全員に聞こえるよう大声で強調した。クリスは怒りと羞恥で我を忘れ、とっさに杖に手を伸ばしたが、それは何者かの手に阻まれた。それは間に入ったドラコでもなく、ましてやパンジーの後ろに控えたクラップとゴイルでもない。

「……ハリー!」

 振り返ると、ハリー、ロン、ハーマイオニーがドラコ達を睨みつけていた。この扉の向こうにいる教師陣を考慮してクリスの手を止めたものの、ただでは退くつもりが無いことは彼らの目を見れば一目瞭然だった。当然、ドラコもこの挑発に乗った。

「これはこれは、ハリー・ポッター。僕の許婚に何の用だい?もしかしてまたサイン会の手伝いかな」
「僕の友達に何の用があるかなんて、一々お前に教える気はないよ。行こうかクリス」
「な、何だと!待っ――」
「待ってッッ!!!」

 甲高い、まだ声変わりも始まっていない少年の声が廊下中に響いた。思わずその場にいた生徒全員の視線が声のした方に集中したが、声の主はまるでそんな視線など意に返さないほど興奮した様子でハリー目掛けて走って来た。

「あのっ、あなたがハリー……ハリー・ポッターだよね!ぼくコリン・クリービーと言います」

 突然の来訪者に、当のハリー達はもちろんドラコ達すら目を丸くして固まってしまった。コリンと名乗った少年は、ハリーより頭ひとつ分は背が小さく、まだ卸したての新調のローブに身を包んでいる姿からすると新入生のようだ。
走って来たせいか、はたまた興奮からかコリンの頬は紅潮し、ハリーを見つめる目は一転の曇りもなくキラキラと輝いていた。

「ぼく、あなたにお願いがあって。ぼく――ぼくと一緒に写真をとってほしいんです!」
「しゃ……写真?」
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