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ハリー・ポッターと純血の守護者

第7章 【有名人の憂鬱】


「自己紹介は結構ですよ、もちろん皆知っていますから――昨年、あの賢者の石を命がけで守った英雄だって。僕マグル出身だから、今までああいう出来事は本の中だけだと思っていたんです。だけどまさか同い年の人があんな危険に立ち向かうなんて……僕すごく感動したんですよ!」

 ジャスティンの瞳はまるで物語の主人公達を見つめるように輝いていた。彼の中で、魔法界はまだまだ現実とはかけ離れた“夢の世界”なのだろう。本人の立場から実際の1年間を思い返すと、そこまで大仰な事をした記憶はないが、ハリーが遅れて温室に入ってきた時、今まで以上に目を輝かせたことを見てもそれは明らかだった。

「こんにちは、ハリー!僕ハッフルパフのジャスティン・フィンチ・フレッチリーです。有名なあなたと授業でご一緒できるなんて、光栄だなあ」

 ジャスティンは半ば興奮気味にハリーと自己紹介を済ませると、そばにあったロックハートの本を手に取った。表紙では狼男と対峙したロックハートが、決めポーズを取りながらひらりと身をかわしている。しかもいちいちカメラ目線で。

「この本、読みましたか?僕はあまりにも素晴らしくって、母にまで勧めたんですよ。それまで母は僕がイートン校に行かなかった事に少し納得していなかったので――でもっ、彼の本を見せたら母も魔法界のことをかなり見直してくれたんですよ!確かにロックハート先生は素晴らしい方ですからね。僕なら狼男に追い詰められたら、立ってることすらできませんよ。それなのに先生はバサッとマントを翻し、クールにも狼男に立ち向うなんて……」

 ハリー、ロン、クリスの3人は熱すぎる演説に少々距離を置きたい気分だったが、ハーマイオニーだけは何度も首を縦に振ってジャスティンに同意していた。きっと時間があれば2人による熱烈トークが始まっていただろうが、運良くスプラウト先生が授業の号令をかけた。

「皆さん、お早うございます。記念すべき新学期初授業では、マンドレイクの植え替えをします。まず誰かマンドレイクの特徴を言える人はいませんか?」
「はいっ――マンドレイク、別名をマンドラゴラと言い、回復薬に適した反面、引き抜いたときの悲鳴を聞くと死にいたるという特性があります。主な用途としては呪いによる石化や毒、または異形変身術等に効果的です」
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