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ハリー・ポッターと純血の守護者

第7章 【有名人の憂鬱】


「はいはい、3人ともそこまでにしましょう。それよりほら、これ」

 間に割り込みながら、ハーマイオニーがプリントを手渡した。前の方から回ってきたそれは2年生用の時間割表だった。

「げっ……初っ端から薬草学。最悪だ」
「マジかよ、あんな杖でもう変身術の授業を受けなきゃいけないなんて」
「良かった、とりあえず今日は魔法薬学ないんだ」
「やったわ!今日からもう闇の魔術に対する防衛術よ!!」

 ひとり甲高い声に、ハリー、ロン、クリスの3人はとっさにハーマイオニーの方を振り向いた。赤い頬のハーマイオニーは紛らわすようにコホンッと小さく咳払いをすると、「薬草学だから、早めに行った方がいいわね」といって一足早く大広間を出て行った。

「どう思う?あれ」
「いいんじゃないか?人の好みはそれぞれだ」
「良くはないだろ、少なくとも朝食の席まで教科書開かれちゃたまんないよ。そのあいだずっと表紙のにやけ顔がこっちを見てくるんだぜ?」

 確かにそれは勘弁してもらいたい。3人は顔を見合わせ大きく頷いた。
 その後ハーマイオニーを追いかけ温室へ向かうと、タイミングが良いやら悪いやら、校庭のほうからスプラウト先生と一緒にロックハートがやってきた。両手に山ほど包帯を抱え、朝から輝かんばかりの笑顔を振りまいている。その隣では、スプラウト先生がうんざりした顔をしていた。

「やあ皆さん、お早う!」

 スプラウト先生より先に、ロックハートが集まった生徒に――主に女生徒に――声をかけた。今日の服はトルコ色のローブと帽子で揃え、豊かなブロンドは文句のつけようがないほど輝いている。嬉しそうにするハーマイオニー達とは別に、男子一同はため息のような返事を返したがロックハートはまったく意に止めず、両手に抱えた包帯を良く見えるように掲げた。

「いやあ、実は今ちょうどスプラウト先生に『あばれ柳』の正しい治療法をお教えしていたところなんですよ。なにせあれは貴重かつ繊細な植物でね、治療はとても注意が必要なんですよ。そこで!前に偶然にも、私が『暴れ柳』を治療したと先生にお話したら、是非とも力を貸して欲しいと頼まれましてねえ。……ああ、でも先生のご名誉のために言っておきますけど、もし私がここにいなかったとしても先生はきっとお一人でも上手に治療されたと思い――」
「みんな!今日は第3号温室ですよ!!」
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