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ハリー・ポッターと純血の守護者

第6章 【Opening】


 お酒のせいか、フィルチの態度はいつもより酷かった。顔を真っ赤にしながら息巻いて、ハーマイオニーに掴みかかろうとしている。クリスとハーマイオニーは思わずあとずさったが、そのたびフィルチがじりじりと距離を詰めてきた。

「そうなんだろう、ええっ!?少し魔法ができるからっていい気になって――」
「アーガス!そこで何をしているのですか!!」

 階段の上からひときわ厳格な声が振ってくると、後一歩のところでフィルチの手がピタリと止まった。クリスとハーマイオニーはその隙に一気にフィルチから離れると、そのままマクゴナガル先生の傍まで駆け寄った。

「いくら祝いの席だからといって、少しお酒を召しすぎではありませんか?」
「い……いやいやマクゴナガル先生、こいつらがこんな時間に出歩いているものですから」
「そうですか。ではこの後は寮監である私が引き継ぎますから、あなたはどうぞ部屋へお戻りなさい」

 こう言われては、流石のフィルチも引き下がるしかない。無言できびすを返すフィルチの足下では、ミセス・ノリスがご主人様を慰めようと必死に足下をまとわりついていた。

「さて…と。それで、貴女方はここでいったい何をしていたのですか?」
「私たち、ハリーとロンを探していたんです」

 大方そんな事だろうとは予想していたのだろう。2人が正直に答えると、マクゴナガル先生は顔をしかめながらため息を吐いた。

「あの2人なら、今さっき寮に戻りました。分かったら貴女方ももう戻りなさい」

 “寮に戻った”と言う事は、あの2人は退学にはならなかったのだ。クリスとハーマイオニーは思わず顔を見合わせた。

「先生、もう1つお尋ねしたいんですが、新しい合言葉を教えていただけますか?実は聞きそびれてしまって」
「今年は『ワトルバード』です。これでもうよろしいですか?」
「はい、ありがとう御座います」

 なんとか最悪の事態だけは免れたらしい。しかし、マクゴナガル先生の表情は険しいままだった。一礼して下がろうとしたクリス達に、今度は先生の方が引きとめた。

「お待ちなさい、貴女達に1つだけ注意しておきたい事があります」
「……はい、なんでしょう」
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