第6章 【Opening】
それから程なくして、豪華な食事も終わり、例年通りの注意事項を告げられ、最後に好き勝手な校歌を歌い終えて始業式は閉式となった。その間もハリーとロンの姿は無く、クリスとハーマイオニーはいよいよ不安になり、寮に戻る団体からそっと抜け出すと医務室へ直行した。ところがマダム・ポンフリーの答えは意外なものだった。
「来てない?ハリーもロンも?」
「ええ、そうです。先ほども申し上げましたが、そう言った連絡はいっさい受けておりません」
クリス達の予想とは裏腹に、ハリーもロンも医務室に姿を見せていなかった。すっかりあてが外れてしまった2人は、今きた廊下をとぼとぼ歩きながら、次なる場所を探していた。
「まさかまだ到着してないって事はないだろうし、医務室にいないって事は、まだスネイプつかまっているのかもしれないな」
「それはないでしょう、スネイプは途中で歓迎会に戻って来ていたのよ。それに寮監じゃないんだから、2人に処罰を下せないわ。それよりマクゴナガル先生の部屋か校長室か――」
「はたまた、もう帰りの列車の中か……」
はあっと、クリスとハーマイオニーはそろってため息をついた。まったく新学期早々、余計な手間を掛けさせてくれたものだと改めて思う。普段のクリスならこんな面倒なことはせず、「その内帰ってくるだろう」と一足お先に寮のベッドでスヤスヤ眠っているだろうが、よりによってスネイプにチクッてしまったという罪悪感からそうもできない。
結局、職員室に行って話を聞いてみようと言う事になり、2人が長い廊下を歩いていると背後から半ば怒鳴りつけるような声で呼び止められた。やおら振り返ると、そこには1匹のネコを従えたハゲ頭の用務員、フィルチが酒気を帯びた顔で2人を睨みつけていた。シラフの時でさえ意地が悪いことこの上なのに、酔っているのであれば尚更難癖を付けられる事は目に見えていた。
「お前達っ!生徒はとっくに寮に戻ってるはずだろう!こんな所で何をしているんだ!!」
「友だ――いえ、先生を探しているんです夏休みの宿題で分からない所があったので、お聞きしようと思って」
「宿題だって!?そんなもん……明日にすればいいだろう!だいたいお前達は魔法の勉強などと言いつつ、やっている事と言えば下らん悪戯ばかり……わたしを怒らせて……馬鹿にして、楽しんでいるんだろう!」