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ハリー・ポッターと純血の守護者

第6章 【Opening】


 2人を乗せた車はちょうどホグワーツ特急の真上を飛んでいたのだから、到着にさほど遅れはないはずだ。そうこうしている内に、マクゴナガル先生が新入生を引き連れて大広間に戻ってきた。ざわついていた大広間が水を打ったようになり、すべての視線が緊張に震える新入生に向き直された。

「とうとう間に合わなかったか」

 クリスは隣の空席を見つめ、また視線を戻した。緊張に震えるジニーを少しでも元気付けようと小さく手を振って応援したが、当の本人は緊張でそれどころではないようだ。

 去年と同じく、マクゴナガル先生が3本足のスツールと共にツギハギだらけの組分け帽子を運んでくると、クリスの心臓がわずかに高鳴った。1年前はあれほど不安だったのに、今は軽い興奮すら覚えるのは何故だろう。クリスは知らず知らずの内に笑っていた。
 組分けを見てもらえないジニーも可哀想だが、この瞬間を味わえないハリーとロンはもっと可哀想だと思う。大広間の真ん中で、組分け帽子がぷるぷると震えた。

   いつの時代もこの日の為に 歌う為に生まれた私
  いく星月のその昔 越えた夜の数星の数 奏でた歌も星の数
  されば今宵も歌いましょう それが私の決めた運命

   勇気を掲げるグリフィンと 情熱の炎を纏うはグリフィンドール
   真理の旅を続けし大ガラス 溢れん知識は水の如きレイブンクロー
   闇夜を照らすは銀の蛇   その心は風の如しスリザリン
   自然を愛するアナグマの  母なる大地を抱くハッフルパフ

   千代に八千代に謳われる 創設者達の偉大な理念
  御旗に込めたその信条 しかと心に焼きつけよ そしてその身に刻み込め
  私は十字の路の道標 行くべき道を決めるのは いつの時代も己次第

「へえ、去年と違う歌なんだな」
「毎年違うらしいわ。ホグワーツの歴史にそう書いてあったもの」

 割れるような拍手が鳴り響く中で、ハーマイオニーが得意げに言った。再び広間が静まるのを待ってから、マクゴナガル先生はローブから長い羊皮紙を取り出した。

「ABC順に名前を呼びますから、呼ばれた生徒はここに来て帽子を被って下さい」
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