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ハリー・ポッターと純血の守護者

第5章 【青空の旅】


 一瞬、言われた事が理解できなかったクリスだが、ジニーが自分の髪と同じくらい顔を真っ赤にさせて俯く姿を見て、全てを悟った。笑ってはいけないと思いつつ、どうしても口がにやけてしまう。

「違う違う、“気になる”って、そういう意味じゃないんだ。……でも、そうか、なるほどな」
「クリス、からかっちゃ駄目よ」
「別にからかうつもりなんてないさ、ただ昔の自分を見ているようで面白いなと思っただけだよ」

 1年前、このコンパートメントで初めてハリーと出会ったとき、良くも悪くもクリスの幻想はガラスのごとく粉々に打ち砕かれた。だがもしかしたら、違う出会い方をしていたらジニーのように今でもハリーに憧れていたかもしれない。
 ジニーを微笑ましく思う反面、こう真っ赤になってモジモジしている子を見ると、ついちょっかいを掛けたくなってしまう。ウズウズしているクリスに、ハーマイオニーが驚きの表情を向けた。

「昔の自分って……貴女も“そう”だったの?」
「ホグワーツに来るまでは、の話だけど。でも魔法界で育った子供は、多かれ少なかれ皆こんなもんだよ。それにハーマイオニーだって初めてハリーに会った時は“『近代魔法史』や『二十世紀の魔法大事件』に貴方の名前が載ってるわ”なんて言って結構興奮していたじゃないか」
「それはそうかもしれないけど……でもっ、今は違うわよ!」

 ジニーの顔を見て、ハーマイオニーが慌てて付け足した。

「それは私だって同じさ。こう言ったら悪いけど、ハリーと私の中の『ハリー・ポッター』の差がありすぎて、憧れは出会った瞬間からどこかに消えたよ。でもお陰で今では良いお友達かな」
「ほんとう?」
「本当に本当。なんならロンに聞いてみれば良いよ、私が初めてハリーに会った時の落胆ぶりを」

 そこまで言うと、ジニーがあからさまにホッとした表情になったのでクリス、はまた少し笑ってしまった。すると向かいの席からハーマイオニーに足で小突かれた。
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