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ハリー・ポッターと純血の守護者

第1章 The summer vacation ~Draco~


 ため息交じりにクリスがそう呟くと、ドラコは心臓の辺りが少し熱くなった。クリスが自分自身ではなく、星の事を言っているのは分かっている。たかがそれだけの事なのに、ちょっと嬉しくなってしまう自分が悔しかった。

「しかもりゅう座の良い所はそれだけじゃないんだ。冬には三大流星群の一つに数えられる程の流星群が、あの辺りから現れるんだ。凄いと思わないか?」
「ああそうだな。スゴイ、スゴイ」

 素直に返事をしてやるのは癪なのでドラコがわざと投げやりな返事をしても、クリスはそんな事に気づくことなく相変わらず星を眺め続けていた。やはり今彼女の頭にあるのは、隣にいるドラコではなく星座のドラコだ。5000年前の旅人と北極星に想いをはせるクリスの隣で、ドラコは自分と同じ名前の星座をにらみつけた。

 それからまた暫くすると、初めの内は目に焼き付けるようにしっかりと流れ星を見つめていたクリスが、突然胸の前で手を組み、目を瞑ってお願い事をし始めた。それだけなら特に不思議な事ではないが、クリスは星が流れるたび眉間にシワを寄せて真剣な顔で目を瞑っている。
 黙ってクリスの横顔を眺めていたドラコも、流石にその真剣な表情が心にひっかかった。

「クリス?いやに真剣な顔で何をしてるんだい」
「見て分かるだろう、流れ星に願い事をかけてるんだよ。こんなに見えるんだから、1回くらい成功するはずだ」
「ふーん、それで君は何てお願いしたんだ?」
「それは勿論、『どうか無事に婚約が破棄されますように』って」

 そろそろ首が痛くなってきたのか、クリスは固まった首をほぐしながらドラコに視線を合わせてそう言った。思ったとおりの答えに、ドラコは呆れてため息を吐いた。

「まだ諦めてなかったのかい?君もしつこいな」
「もちろんだ、諦めてたまるか。そうだ、どうせならドラコも一緒にお願いしないか?そうすれば成功する確率も2倍だ」
「僕はそんなバカバカしい頼みは願い下げだ」
「あっそう……ま、初めから期待なんてしてないけどな。でもせっかくなんだから、ドラコも何かお願いしておかないと損するぞ」
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