• テキストサイズ

ハリー・ポッターと純血の守護者

第4章 【仕組まれた出会い】


 とたんに人垣が割れ、ロックハートはハリーの腕を掴むと無理矢理テーブルの正面に連れて行った。無数のポスターが輝かんばかりの笑顔を向ける中で、まさに写真どおりの笑顔を振り撒くロックハートと一緒に、戸惑うハリーが日刊預言者新聞の記者にカメラを向けられていた。

「これぞまさに運命ではないでしょうか。今日この日、私の人生において……”偉大な冒険をこなしてきた”この私の人生においても、”とても大切な発表”を行う今日この日に、彼と出会う事になるなんて」

 やっぱりさっきの会話は聞いていたらしい。
 ハリーは何とか逃げようとしていたが、ロックハートはハリーの手をきっちり掴んで放さなかった。クリスの隣で、ロンが親友を哀れむ声を上げていた。

「きっと彼も今同じ運命を感じた事でしょう。なぜなら彼は私の本を買う為に――私の数々の偉業を、少しでも学ぼうと私の本を買う為ここに足を踏み入れ、”人生の師である私と出会った。”この奇跡の出会いを享受し、私は今ここで、新たに9月から”ホグワーツの教授になる”事を発表いたします!!」

 クリス、ハリー、加えてウィーズリー兄弟の叫び声は、人々の歓声と拍手とフラッシュの音にかき消された。今ホグワーツに空きのある教科なんて一つしかない、去年の戦いの末に亡くなったクィレル当が担当していた『闇の魔術に対する防衛術』だ。
 ハリーはやっとロックハートから開放されると、人垣の間をフラフラよろけながらクリス達のところまで戻ってきた。何故かロックハートのサイン入り全署をプレゼントされたらしく、ハリーは積み重なったそれを全てジニーに渡した。

「あげるよ、僕は自分で買うから――」
「おやおや有名人は大変だねえ。本を買うにも新聞記者がついてまわるなんて知らなかったよ」

 背後から聞こえたいやみったらしい声に、クリスは心臓が止まるかと思った。その声だけで、相手が物凄く怒っている事が分かる。振り返りたくないのに、何か大きな力が無理矢理クリスの頭を掴み振り返らせ、その額に浮かぶ青筋と、冷たい灰色の瞳をクリスに見せつけた。
/ 294ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp