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ハリー・ポッターと純血の守護者

第4章 【仕組まれた出会い】


 苦虫を噛み潰す男衆とは逆に、ウィーズリー夫人は興奮して髪を撫で付け、ハーマイオニーもいつのまにか人ごみに交じり爪先立ちでぴょんぴょん飛び跳ねていた。

「ハーマイオニーって、ああいうのが好みだったのか?」
「違うけど、でも彼ってとっても偉大じゃない。リストにある教科書の殆どを書いてるのよ!」

 そう言ったが、はたして本当にそれだけだろうか。ついにサイン会が始まると、ハーマイオニーはロックハートの本を胸に抱え、2回りは違う婦人の溢れる店内に特攻していった。逆にジニーはフレッドとジョージの手を借り、色とりどりのローブがひしめく中を命からがら脱出していた。

「まるで戦場だ……クリス、君は行かなくていいのかい?」
「ブロンドは好みじゃないし、本ならもう家にある」
「好みじゃないのに買ったの?」
「顔目当てで買ったわけじゃない、面白いって評判だったから試しに買ってみたんだよ。確かに面白かったけど、この人ごみを掻き分けてまでサインが欲しいとは思わないな」

 ロックハートの本は、評判どおり読み応えのあるものだった。しかし本を手に取るたび、表紙を飾る写真のロックハートがこちらにウインクを投げつけてくるものだから、それだけで読み返す気が失せてしまう。しかしここにいる殆どの人は、半分それ目当てで買いに来ているようだ。

「良かった、クリスみたいなのもいて。世の中みんなママみたいなのばかりかと思ってたよ」
「好みは人それぞれだ。それに言わせてもらえば、この世界にはもっと偉大な人がいるだろう」
「偉大な人?誰だろう。えーっと、ああ!ダンブルドアか」
「……ハリー、違う。確かにダンブルドアも偉大だけど違う。よく考えてみろ、この魔法界には、あんなヤツの冒険なんかより“もっと偉大”で、“もっと凄い事”を成し遂げた“有名人”がいるだろう」

 その瞬間、サインをしていたはずのロックハートが突然立ち上がり、こちらを振り向いた。まさかあの黄色い歓声の渦巻く中、今の会話を聞いていたのだろうか。ロックハートはクリス、ロン、ハリーを順番に見つめ、その額の傷痕に目をとめると、人垣の向こうから叫び声を上げた。

「まさか!そこにいる少年はハリー・ポッターではありませんか!?」
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