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ハリー・ポッターと純血の守護者

第4章 【仕組まれた出会い】


 気まずい雰囲気を払拭するような声が聞こえてきたかと思うと、今度はパーシーを連れた中年の男性が階段を上ってみんなの前に姿を現した。ひょろりと長身で、少し薄くなった頭には白髪交じりだが、燃えるような赤毛を蓄えている。間違いなく、この人がアーサー・ウィーズリー氏だ。

「おおハリー、また会えてよかったよ。君にもしもの事があったら叔父さんと叔母さんに申し訳が立たないからね。……おや?いつの間にか見ない顔が増えているようだが」
「ああ、えっと、ハーマイオニーとクリスだよ。ほら、休みの内に話しただろう?」

 ロンの言葉にウィ―ズリー氏は「ああ……」と小さく頷くと、しわの刻まれた目じりを弓なりに曲げ、ハーマイオニーと、そしてクリスの手を握った。

「ロン達から話は聞いてるよ。昨年は息子達が随分お世話になったそうじゃないか」
「いえ、そんな事は……」

 ありません、と言い切れず、ハーマイオニーは視線を泳がせながら言葉を切った。

「それとクリスはマグル製品集めが趣味なんだってね。実は私もなんだ、今日は会えてよかったよ」
「い……いいえっ、私のほうこそお会いできて光栄です!!」

 マグル製品収集家として密かに憧れていたアーサー・ウィーズリー氏が、目の前にいる。それだけでも感動なのに、なんと自分の手を握って挨拶までしてくれているのだ。ウィーズリー夫人と微妙な距離に落ち込んでいた直後だった事もあり、クリスの心は天にも上る気持ちだった。
 微笑みながら、ウィーズリー氏はこう続けた。

「話には聞いていたが、なるほど。確かにクラウスに似てかなり器量の良い息子さ――」
「――娘です」
「……はっ?」
「ム・ス・メ・です」

 一向の間に、再び気まずい空気が流れる。1年前に同じ経験をしたハリー、ロン、ハーマイオニーの3人は、僅かに顔を反らして知らんぷりをしていた。その隣でフレッドとジョージは腹を抱えて笑いを堪え、パーシーは何度も不思議な咳払いをしている。ウィーズリー夫人と末娘は、そろって「えっ?」と小さく驚いていた。そして肝心のウィーズリー氏は――

「あ……ああ~、そうだよな。よく見れば綺麗な顔をしているよ、うん。私としたことが娘と息子を言い間違えるなんて。あっはっはっはぁ~……すまない」
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