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ハリー・ポッターと純血の守護者

第4章 【仕組まれた出会い】


 それを知って、ハリーはショックを隠しきれなかった。壁に寄りかかり、手の中に顔を埋めている。その様子に、クリスはこのことを本人教えたのは軽率だったと気づいた。去年もハリーに「ハリー・ポッターとしての役目」を押し付けて喧嘩したばかりだ。クリスの胸に後悔が押し寄せる。

「ハリー……ごめん。大丈夫か?」
「うん、僕なら大丈夫だよ――誰がなんと言おうと、僕にはそんな力があるはずないんだから」
 
 しかしクリスの予想に反して、顔を上げたハリーは、もう先ほどまでのような怯えたハリーではなかった。きっぱりと悪を否定する揺るぎない声と、このノクターン横丁にはびこる人間には出来ない生気の溢れた眼。数ヶ月前、賢者の石をめぐって繰り広げたあの壮絶な戦い以来、ハリーの中に確かな闇の魔術に対する正義が芽生え始めているのだ。
 それが頼もしく思うのに、心の片隅でクリスはなぜか寂しさを憶えた。

「クリス?どうしたの?」
「いや、なんでもない。さあ、早くこんなところから出よう。ここを曲がれば近道だから」

 小さな通りを抜けると、再び店の立ち並ぶ大通りに戻った。色々遠回りもしたが、あとはこの道をまっすぐ行けばダイアゴン横丁に戻れる。
 だが事件はこれだけでは終わらなかった。ダイアゴン横丁とノクターン横丁を結ぶ暗いトンネル近くで、クリスは見間違えようのない巨体――ハグリッドが店の軒先に立っているのを見つけた。いくらダイアゴン横丁との境目付近だといっても、そこは立派にノクターン横丁の店のはずだ。
 驚きを隠せないクリスをよそに、ハリーは無邪気にハグリッドに駆け寄った。

「ハグリッド!久しぶり」
「よう、誰かと思ったらお前さん達か。久しぶりだな」

 いつもどおりハグリッドは朗らかに笑って手を振ってきた。丁度買い物の最中だったのか、店員から紫色の変な液体を受け取ると、いつも着ている茶色のオーバーコートから代金を取り出した。ここにいるという事以外、ハグリッドにおかしな所はない。クリスは少し安心した。

「こんなところで何を買ったんだ?」
「肉食ナメクジの駆除剤だ。バカみたいに増えちまって、学校が始まる前に大掃除をしとかなきゃならん。そんな事より、お前さん達こそどうしてこんな所にいるんだ?向こうでロンやハーマイオニーが探してたぞ」
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