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ハリー・ポッターと純血の守護者

第4章 【仕組まれた出会い】


「待って、ちょっと待ってよクリス!」

 老婆から十分に離れた通りまで来ると、ハリーが急に歩みを止め、頭を抱えはじめた。慣れない煙突飛行を使ってからこっち、ハリーは未知との遭遇だらけで頭が完全に混乱している。

「ねえ、なんだかさっきから分からない事だらけで頭がパンクしそうなんで、説明してくれないかな?さっきの人はいったい何なの?それに、どうして僕をハワードなんて呼んだの?」
「シッ、声が大きい。……ここにはさっきの婆さんみたいな人が沢山いるんだ。だから五体満足でいたかったらもう少しその傷を隠しておいた方が良い。それでなくとも、ここは君にっとって危険すぎるくらいだ」
「そもそも、ここってどこなの?」
「ここはノクターン横丁。もう分かってると思うけど、闇の魔術がはびこる危険な場所だ」

 そう言って、クリスは再び歩き出した。念のため追っ手がつかないように、わざと複雑な道を選ぶ。時々後ろを振り返ってみるが、誰もついてきてはいないようだ。
クリスはハリーに身を寄せると、声をひそめてささやいた。

「だから君の正体がばれると不味いんだ。信じられないかもしれないけど、純血主義の中には君を『仇』ととるか『次の闇の皇帝』として考えている連中がいるからな」
「え?……ええぇっ!?」

 通りに反響するほどの大声でハリーが叫ぶと、怪しげな露店を開いていた黒頭巾の男が振り返った。クリスはハリーの首根っこを掴むと、慌てて人のいない細い小路に逃げ込んだ。

「頼むから叫ぶな、誰が聞いてるか分からないんだ」
「ごめん……でも『仇』は分かるけど、僕が『次の闇の帝王』ってどういうこと?ありえないよ」
「そりゃ誰だってそう思ってるよ。だけど純血主義の中には、『例のあの人を倒した君の方が、より闇の皇帝にふさわしい』って思っている奴もいるんだ」

 普通魔法界では、ハリー・ポッターといえば「例のあの人を倒した英雄」として通っている。だがその反面、ハリーの持つ魔力の高さに目をつけ、密かに次の闇の帝王に祀り上げようとしている連中もいるのだ。
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