第31章 【陽の光の中で】
クリスはハリーからもらった紙を、宝物のように天にかざした。ハリーは「大げさだよ」と笑っていたが、クリスにとってはマグルとの接点になる大切なものだ。紙に軽くキスをしてから綺麗に折りたたむと、クリスは大事そうにローブのポケットにしまった。
「それじゃあ、私は馬鹿な幼馴染の所へ行かなくちゃいけないから、ここでお別れだな」
「そうね。残念だけど、また2か月後に会いましょう」
「フルーパウダーがあるから、良かったらいつでも遊びに来てよ」
「僕も、電話待ってるよ」
「そう言えば、夏休みと言えばハリーの誕生日だな!!」
クリスは目を輝かせた。さすがは元ハリー・ポッターフリーク。そこら辺のチェックは怠らない。
「今年は何が欲しい?何でも言ってくれ」
「じゃあ……折角電話番号を渡したんだから、声を聞かせてよ。2か月間ダドリーしか話す相手がいないなんて、僕その内死んじゃうよ」
「任せてくれ、ついでに特大のケーキも送らせてもらうよ」
「良いね、ダーズリー家ではいつもお腹減らせてるし」
「じゃあ僕も、ママに頼んでご馳走を準備させておくよ」
「私も、歯医者の娘として虫歯にならないケーキを送らせてもらうわ」
そんな話をしているとき、双子のフレッドとジョージに囲まれてジニーがやって来た。ジニーは相変わらずハリーを見ては「キャッ」と言って双子のかげに隠れていたが、もうすっかり元気になったようだ。
その時、ハリーはジニーがパーシーに何か口止めされている事を思い出し、赤くなっているジニーに聞いた。
「ねえジニー、前にパーシーが君に何か口止めしているって言っていたけど、あれって結局何だったの?」
「だ、誰にも言わない?」
ジニーは周りを見渡し、パーシーが近くにいないことを確認してから重い口を開けた。