第31章 【陽の光の中で】
「実はね、パーシーにガールフレンドがいるの。あのペネロピ―・クリアウォーターっていうレイブンクローの監督生。私、前に2人が誰もいない空き部屋で、キスをしているのを偶然見ちゃったの……」
「「「「「なんだってぇ!?」」」」」
ハリー、ロン、クリス、そして双子の驚く声が辺りを包んだ。確かに無理もない。あの堅物のパーシーに、よもやガールフレンドがいるとは。
「お願いだから、誰にも言わないでね?」
「もちろん言わないさ」
「僕らこう見えて口は堅いんでね」
そう言いながら、双子の口がもう誰かに言いたそうにぴくぴくと動いている。きっとキングズクロス駅に着くころには、生徒の誰もが知っていることになるだろう。そんな事を話していいるうちに、列車が出発の合図を鳴らした。
「さて、それじゃあそろそろ行くとしますか」
「それじゃあ、また2か月後に会おう」
「そうだ――ハリー!」
ハリーのローブを引っ張って、クリスはハリーの頬にチュッと軽く唇をあてた。人の目も気にしないクリスの大胆な行動に、ロンもハーマイオニーも口を開けたままポカンとしていた。
「そう言えば、バジリスクから助けてもらったお礼がまだだったと思ってね」
口の端をニッとあげて悪戯っぽく笑うと、クリスは大きく手を振りながら人ごみの中へと消えて行った。夏の太陽にも負けないほど、顔を真っ赤にして放心状態のハリーを後に残して。
こうして今年も波乱に満ちたホグワーツ2年生としての年は、幕を閉じるのだった――。