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ハリー・ポッターと純血の守護者

第31章 【陽の光の中で】


「それじゃあ、『闇に覆われし時』って言うのは?」
「うーん……きっとグリフィンドールが死んだ後の事じゃないか?グリフィンドールがいなくなった時、魔女狩り等で掴まることを恐れたんだよ。大人の魔法使いなら火あぶりにされても大丈夫かも知れないが、まだ呪文もろくに使えない子供達が捕まって拷問にかけられたらひとたまりも無いだろう」

 今の自分たちが火あぶりにされたら――ハーマイオニーなら良い呪文を知っているかもしれないが――もう少しでやっと3年生になるクリス達では、火あぶりや拷問に対処する方法なんて知らない。もし現実に行われていた魔女狩りや迫害を受けていたらと想像すると……それだけで身震いがしそうだ。
 確かに魔女裁判を受けていたのは女子だけではないが、標的とされていたのは圧倒的に女子の数の方が多い。それを守るべく、サラザール・スリザリンは女子トイレに最強の守人を用意したのではないだろうか。

「まあ、今となってはどんな真実も闇の中、だけどな」

 しかし――本当に犠牲者が1人も出なかったのは幸いだ。もし誰かが死んでいたら、こんな平穏な日は、どこかに過ぎ去っていってしまっていただろう。それを考えるだけで、クリスは怖くなってきた。
 クリスはおもむろに草の上に寝っ転がると、目をつぶって太陽の光を浴びた。

(だから今、この時を大切にしよう)

 あの日見た夢、そして自分の中に眠っている力。その事を、今だけは忘れていたかった。

* * *

 そしてとうとう、ホグワーツ特急に乗って家へと帰る日がやって来た。皆でホームに集まり、どのコンパートメントに乗るか話し合っていたとき、人ごみの中からグラップとゴイルを連れたドラコがやって来た。ドラコとまともに顔を合わせるのは、例の魔法薬学の授業以来だ。

「いったい何の用だ?ドラコ」

 クリスが突き放すようなキツイ口調でそう言うと、ドラコは視線を逸らしながらもごもごと口を動かした。

「聞こえないな、用が無いならどこかへ行ってもらえないか?」
「か、賭けは僕の勝ちだ。命令として、僕と同じコンパートメントに乗ってもらうぞ!」
「はあ?賭け?」

 クリスが聞き返すと、ドラコは顔を真っ赤にして必死になって声を大きくして宣言した。
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