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ハリー・ポッターと純血の守護者

第31章 【陽の光の中で】


「僕らだって頑張ったのにな」
「まあ、バジリスクを倒したのも、トム・リドルを倒したのも結局ハリーだからな」

 拗ねるロンに、クリスは肩を叩いた。
 その日の朝食は、まるでお祝いのようなご馳走だらけだった。しかも嬉しかったのはそれだけではない。マクゴナガル先生が、学校からのお祝いとして期末テストを無しにしてくれた事、そしてハグリッドがアズカバンの監獄から帰って来た事、あのロックハートが入院の為、教師の座から外された事など、嬉しいことの連続だった。

 それから学期末まで、日にちは矢のように過ぎて行った。そんな中で一つだけ引っかかったのが、マルフォイ氏が学校の理事から外されたことだった。その所為で、ドラコは学校の中を威張りくさって歩けなくなったのは良いが、夏休みにおじ様と顔を合わせることを考えると、今から怖くなってきた。


 やがて待ちに待った初夏がやって来た。陽がさんさんと輝き、草は太陽の光を浴びて青々と茂っている。この時期が、クリスは一番好きだ。4人で湖から少し離れた場所で日向ぼっこをしていると、突然ロンが質問を投げかけてきた。

「そういえばさ『秘密の部屋』の入り口って、何でトイレの中にあったんだろう。それも女子トイレだぜ?」
「これは私の推測だが……多分マグルを――魔女狩りを1番恐れていたのが、サラザール・スリザリンだったからじゃないかな」

 ロンは「まっさか~」と言って否定していたが、ハリーとハーマイオニーは黙ってクリスの話しに耳を傾けてくれた。2人とも態度には出さなかったが、スリザリンの末裔であるクリスの話しを聞く機会を、ずっと待っていたのだ。

「私の家にこんな詩が残っているんだ『赤き太陽が闇に覆われし時、純潔なる双子の乙女、聖なる名において我らを守りたもう』って。本当はゴドリック・グリフィンドールの事を1番認めていたのはスリザリンだったのかもしれない」
「そうか、詩にある『赤き太陽』って、もしかしたらグリフィンドールの事を指しているんじゃないかな」
「そうね。だからこそ、スリザリンはホグワーツを去っても自分だけで学校を創らなかったんじゃないかしら。他の3人の事を、きっと心の奥底では信頼していたのよ」

 ハリーとハーマイオニーは、クリスの仮説に納得したようだったが、ロンはまだ引っかかっていた様だった。
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