第31章 【陽の光の中で】
変な夢を見た後、クリスは全く眠れなくなり、仕方なくシャワーを浴びてから談話室へ降りて行った。まだ誰もいない談話室はシーンと静まり返り、クリスはソファーに体をうずめて一息ついた。
いったいあの夢は何を示していたんだろう。本当にあんな過去が自分にあったのだろうか。それともただの夢だったのだろうか。そんな事を考えていると、バタバタと人の足音がして、ハリーとロンが駆け足で談話室へと降りてきた。2人はクリスの顔を見ると、幽霊でも見た様に驚いていた。
「まさか!?僕たちよりクリスの方が早いなんて!!」
「目覚まし時計が壊れていたんじゃないよね?」
「開口一番、喧嘩を売っているんじゃないよな?」
クリスの鋭く刺すような視線に、2人は曖昧な笑顔を浮かべてごまかした。
「そんな事より、早くハーマイオニーの様子を見に行こう!」
「きっと今頃、マダム・ポンフリーの薬を飲んで元に戻っているはずだよ」
2人はクリスを引っ張りながら、医務室へと急いだ。医務室に着くと、3人は待ちきれないといった風に勢いよく扉を開いてハーマイオニーのベッドへと駆けつけた。
「ハーマオニー!!」
カーテンを開けると、なんとハーマイオニーはパジャマから制服へと着替えている最中だった。ハリーとロンはハーマイオニーから頬にきついお仕置きを受けとることになり、ハーマイオニーの着替えが終わるまで、カーテンの外で大人しく待機させられた。
ハーマイオニーは着替え終わると、クリスにぎゅっと抱きついた。
「あなた達が解決してくれたんでしょう?良かった、本当に良かった!」
「それ、カーテンの外にいる2人にも言ってあげてくれ。2人とも頑張ったんだから」
ハーマイオニーはカーテンを開けると、勢いよく2人に抱きついた。2人は着替えをのぞいてしまった事で何となく気まずい思いをしながら、歓喜に泣くハーマイオニーの肩を優しく撫でた。
それから久しぶりに4人そろって大広間に行った。大広間は2年連続寮対抗優勝杯を手にしたことで、赤と金のグリフィンドールの旗が飾られていた。ハリーが大広間に1歩足を踏み入れると、スリザリン以外のテーブルから、湧くような拍手が巻き起こった。ダンブルドアが、昨夜の出来事をもう皆に伝えたらしい。