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ハリー・ポッターと純血の守護者

第30章 【祭りの前に】


「あ、あたし知らなかったの……ママが準備してくれた本の中にこれがあって、きっとパパかお兄ちゃん達の誰かのだろうって、そう思ったの――ごめんなさい、本当にごめんなさい!!」

 大声で泣きながら、ジニーは何度も謝り続けた。その健気な姿に、誰も何も言えなくなってしまった。母親のウィーズリー夫人が「分かったわ、もういいの。もういいのよ」と、優しくジニーを抱きしめた。

「さて――」

 ジニーの鳴き声が小さくなりはじめると、ダンブルドアが声を上げた。

「もう夜も更けた。みんな寮に戻ると良い。それと、ポッターとウィーズリーとグレインの処罰じゃが……」

 3人ともぎくりとした。寮を勝手に出た事すら規則破りなのに、禁じられた森に入り、あまつさえロックハートを脅して、先生達に相談もせず、勝手に『秘密の部屋』に入った。いったい何点減点されるんだろう。ドキドキしながら処断を待っていると、ダンブルドアは3人に向けて柔和な笑みを浮かべた。

「大人でさえ見つけられなかった『秘密の部屋』を見つけ、見事生還した。この偉業を達成出来た者はそうはおるまい。で、あるからして……3人に『ホグワーツ特別功労賞』と、1人につき200点づつグリフィンドールに与えよう」

3人の顔がぱあっと明るくなった。特にロンなんかは顔を髪の毛以上に赤くして、興奮を隠しきれないでいる。マクゴナガル先生は、3人が規則を幾つも破ったことに少し異論を唱えたそうだったが、結局ダンブルドアの判断に任せることにして何も言わなかった。

「さあ、3人とももう寮に戻ると良いじゃろう。そして明日の朝一番にもう一度ここにおいで。そうすればミス・グレンジャーの元気な顔が見れるじゃろう」

 そうだった、マンドレイク薬が明日の朝一番に出来上がるんだった。それを思い出し、3人は顔を見合わせた。しかし次の瞬間、3人は困る質問をダンブルドアから投げかけられた。

「ところで、ギルデロイ……随分と大人しいが、いったい何があったかな?」

 そう、ロックハートの事をすっかり忘れていた。ロックハートと言えば、周囲の人たちには目もくれず、回転式の丸椅子に座り、くるくる回りながら遊んでいた。いったいこれはどう説明したらいいのだろう。3人は押し黙っていたが、遂にハリーが重たい口を開いた。
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