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ハリー・ポッターと純血の守護者

第29章 【炎の精霊サラマンダー】


 クリスは這いずりながらジニーの元に行って心臓に耳を当てた――すると、トクン・トクンと小さいながらも心臓の音がする。――生きている!!

「クリス……ジニーは?どう?」
「大丈夫だ、生きているよ」
「良かった……」

 それを聞いて、ハリーも力が抜けた様にその場に座り込んだ。そしてお互い顔を見合わせると、どちらともなく笑みがこぼれた。安心と疲労感がどっと押し寄せてきた。
 でも終わったんだ。これでもう、バジリスクに襲われる生徒もいないし、『秘密の部屋』が開かれることは無い。黒い日記帳の真ん中に空いた穴を見つめながら、クリスは安堵のため息をついた。

「さあ、戻ろう。ロンが待ってる」
「そうだね、きっと心配してるね――そうだ!」

 ハリーはバジリスクの死骸に近づくと、口蓋に柄まで突き刺さった剣を抜いた。

「これも持って帰らないとね――それと、これも」

 そう言って、黒い日記帳を拾い上げた。そして忘れずに杖を拾い、2つともローブにしまうと、2人でジニーを抱えながら『秘密の部屋』を後にした。もう二度とここに来ることは無いだろう。先祖の残した『秘密の部屋』を振り返ると、入ってきたときと同じように、2匹の蛇が絡み合う様にして扉が閉まった。
 疲れた体でジニーを抱えて歩くのは大変だったが、ガラガラと石の崩れる音と、その石の間からロンの顔を見ると、疲れなんて吹っ飛んでしまった。

「ロン!」
「ハリー、クリス!2人とも無事だったんだね!」
「2人だけじゃないよ、ジニーも無事だよ。今は気を失っているけどね」

 それを聞いて、ロンの頬がこれ以上ないって言うほどほころぶのを見た。瞳が潤み、今にも泣きそうだ。ロンが一生懸命開けてくれた穴から這い出ると、ロンが嬉しそうにジニーの体を抱きしめた。それから両手でハリーとクリスの肩を抱きしめた。

「ありがとう、2人とも……本当にありがとう!!」
「気が早いな、まだ終わりじゃないよ」
「そうそう、問題がまだ残ってるよ――そういえば、ロックハートは?」
「コイツはもう駄目だね、術が完全にキマッてる」
「やあ君たち、こんにちは。それとも今はこんばんはかな?」
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