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ハリー・ポッターと純血の守護者

第29章 【炎の精霊サラマンダー】


 トンネルの入り口で、あちこちふらふら歩きながら混乱しているロックハートに、思わず笑いそうになってしまった。しかし、問題はこれじゃない。

「どうやってパイプを上るか、考えてた?」

 そう言われ、ハリーとクリスは首を横に振った。このパイプを上れなければ、帰りたくても帰れない。その時、フォークスがハリーの前にやってきて、金色の尾羽を振った。そして宝石のような輝く瞳でハリーを見た。

「なんか……掴まれって言っているような気がする」
「本当?鳥なんかに人を運ぶ力があるのかよ」
「でも、フォークスは普通の鳥じゃない――そう言えば、ダンブルドアが不死鳥は重い荷物でも運べるって前に言ってた!」
「まあ、試してみる価値はあるか」

 ハリーを先頭に、ロン、ジニー、クリス、ロックハートの順に手をつなぐと、ハリーはフォークスの金色の尾羽に掴まった。すると不思議な力としか言いようがないほど、身が軽くなり、ものすごい速さでパイプの中をぐんぐんと逆走していった。
 長い様で短い時間の飛行の後、4人は「嘆きのマートル」のトイレに戻って来た。4人が無事に戻ってきたことに、マートルは口をあんぐりと開けて驚いていた。

「あんた達……生きてたの?」
「まるで死んでいてほしかったような口調だね」
「あたし……その……もしも、もしもあんたが死んだら、私と一緒のトイレに住んでもらおうかなって、思っていたの……」

 ハリーを見てそう言いながら、マートルは下を向いて顔をポッとさせた。そして恥ずかしそうに顔をかくすと、またトイレの中に入って行ってしまった。

「こりゃたまげたぜ!マートルのやつ、君に気があるみたいだぜ!!」
「ジニーに、ライバル出現ってやつか。モテる男はつらいな、ハリー」
「すっごく嬉しくないんだけど……」

 「嘆きのマートル」のトイレから出ながら、そんな話をしていた。廊下に出ると、やっと帰って来たと言う気分になる。クリスはほっと息を吐いた。

「それで、これからどうします?」
「まずは医務室に行きたいな。いい加減、血が流れすぎて倒れそうだ」

 クリスの後頭部から流れた血は、首筋を伝ってローブまで汚していた。それにジニーはまだ気を失ったままだ。ハリーも所々けがをしているので、それが良さそうだと言って、4人は医務室へ向かった。
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