第29章 【炎の精霊サラマンダー】
「さあ、後は君だけだ!トム・リドル!いや、ヴォルデモート!!」
「ふふふ……ははは……はーっはっはっは!驚いたよ、高々2年生の魔法使い2人であのバジリスクを倒すなんてね。どうだい、僕と手を組まないか?そうしたら世界中が僕たちのものになるぞ」
「誰がそんなもの!!貴様はここで死ぬんだ!サラマンダー!!」
クリスが杖を構えると、突然めまいがして倒れそうになった。後頭部に手を当てると、ぬるりとした感触と、手の平が真っ赤に染まっている。先ほど弾き飛ばされた時、頭を打って血を流しすぎたんだ。しかし、こんな時に気を失ってなんていられない。力を振り絞り、クリスは立ち上がったが、足に力が入らなかった。
もう時間はない、あと一回火の玉を当てられるかどうかだ。それでもクリスは立ち上がって杖を構え直した。
「行け、サラマンダー!!」
クリスが声を張り上げると、サラマンダーは大きな火の玉を作り出し、リドル目がけて飛ばした。しかしまたも柱の陰に隠れて避けられてしまった。しかしその時、リドルは何か黒いものを落とした。日記帳だ!リドルは素早くそれを拾おうとしたが、それより早く、赤い閃光のようなものが日記帳を拾った。フォークスだ!
フォークスはハリーの手元にその日記帳を落とした。リドルはそれを拾おうと必死になってハリーの方へ走って行ったが、それよりも早く、ハリーはまるで全て分っていたかのように、バジリスクの牙を拾い、日記帳に突き刺した。
「うわあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
耳をつんざくような大きな悲鳴が部屋中に響き渡った。日記帳からは真黒なインクが滝のように流れ出し、ハリーのローブを汚し、床に流れ落ちた。リドルは激痛が走ったかのように顔を歪め、身をよじり、悶え、そして悲鳴を上げながら霧の様に消えていった。
クリスはもう立てなくなり、膝をついて倒れた。するとサラマンダーの姿も消え、重力が2倍になったように体が重くなった。しかしまだ終わりではない、ジニーの存在だ。