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ハリー・ポッターと純血の守護者

第3章 【常闇のノクターン】


 小馬鹿にしたように鼻で笑うと、ドラコはまた干し首に向きかえった。その背中に向かって言いたい事は山ほどあったが、今はハリーをここから出す事が先決だ。そこはグッと言葉を飲み込み、クリスはドラコに気づかれぬよう再び飾り棚の扉を開けた。すると案の定、ハリーは少し紅くなった鼻を押さえてうずくまっていた。

「クリス……ホントいきなりは止めてよ」
「仕方ないだろう。とにかく、私があいつの気を引くから、そのスキにハリーは店から出て外で待っていてくれ。その後私がダイアゴン横丁の入口まで案内するから」
「うん、分かったよ」
「頼むから、絶対ひとりで行こうとするなよ」

 「OK」というハリーの言葉を信じて、クリスは早速作戦に取り掛かった。ルシウス達が戻ってくる様子はなく、ドラコも干し首に飽きたのか、今度はこちらに背を向けて別の物を眺めているので、ハリーがそっと飾り棚から抜け出した事にも気づいていない。
 これなら案外楽にことが運べるかもしれない。クリスはドラコに話しかけた。

「ドラコ、なに見てるんだ?」
「これはすごいぞクリス、血を吸う呪いの短剣らしい。ほら、どす黒く錆びたところがあるだろう?人の生き血を吸った証拠だ」
「そうか?案外ブタやニワトリを捌いただけかもしれないぞ。ここにある物なんてほとんど眉唾ものばっかりじゃないか」

 話しながら横目でハリーをうかがうと、上手く棚の陰に隠れているのか、今の所こちらからは全く姿が見えない。しかし問題はその先の、中心部にある出入り口だ。店から出るときは、どうしたって身を隠す事はできない。クリスはそれとなく、ドラコから店の入口が見えないように体の向きを変えさせた。

「あ~、それよりドラコ。実は頼みがあるんだ……ちょっと用事があって外に行きたいんだけど、おじ様にそう言っておいて貰えないか?」
「用事って、どんな用事だい?」
「大した事じゃない。ただあのトロッコに乗ってから気分が悪くて、漏れ鍋で元気爆発薬でも飲もうかと思ってさ」
「それなら何故父上を待ってるときに行かなかったんだい」
「入れ違いになったらまた面倒だろう」
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