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ハリー・ポッターと純血の守護者

第28章 【トム・リドル】


「自分の魂を注ぎ込んでいる?」
「そう、日記に心を打ち明けることで、ジニーはその魂を僕に注ぎ込んでいたんだ。そしてジニーの心の奥底にある恐怖や秘密を糧にして、僕はだんだん強くなった。そして反対に僕の力を少しだけ与えることで、ジニーを完全に支配することになった」
「まさか……君はジニーを使って――」
「そう、そのまさかさ。僕はジニーの体を使って、『秘密の部屋』を開けた。学校中の雄鶏を絞殺したのも、壁に脅迫の文字を書きなぐったのも、バジリスクを使って4人の汚れた血やスクイブの飼い猫を襲ったのもジニーだ」

 それを聞いてクリスもハリーも愕然となった。まさか一連の事件の犯人が、あの小さなジニーだったなんて。クリス達の青ざめた顔を見て、リドルはますます微笑んだ。

「初めは自分のやっている事に気が付かなかったみたいで、大いに笑えたよ。暫くして日記になんて書き始めたか君たちに見せてやりたかった。『――ねえトム、あたし記憶喪失になったみたい。ローブが鶏の羽だらけになっているのに、何も覚えていないの。それにハロウィーンの夜、猫が襲われて、私のローブにペンキがべっとりくっ付いていたの。ねえトム、今日も一人襲われたのに、あたし自分が何処にいたのかさえ覚えていないの……きっとみんなを襲っているのはあたしなんだわ!』」

 冷たいリドルの笑い声が、部屋中に反響した。クリスは腸が煮えくり返る思いがしたが、下手に動くとジニーの命が危ないと思い、動きたくても動けずにいた。

「お馬鹿なジニーが日記を信用しなくなるまでに随分と時間がかかったよ。しかしとうとう変だと疑いはじめ日記をトイレに捨てた――そこにハリー、君が現れたのさ。他の誰でもない、ハリー・ポッター君自身さ。僕は柄にもなく興奮したよ。だって君に会えるのをずっと待っていたんだからさ」
「どうして僕に会うのを待っていたんだ?」
「そうだな……それはそこの小さなお馬鹿さんが色々話してくれたからさ。だから僕は君に会わなければならないと思っていた。会って、話さなくてはならないと思っていた。だから僕は50年前のあの日を君に見せたんだ、僕を信用させるために」
「でも君の言っていた事はでたらめだった!!」

 果敢にも、ハリーはリドルに食って掛かった。
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