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ハリー・ポッターと純血の守護者

第27章 【握りしめた手】


 クリス達は大急ぎでロックハートの部屋に向かった。今は1分1秒でも惜しい。ロックハートの部屋の前に着くと、中ではガタガタ、バタバタと激しい音が響いていた。ハリーが扉をノックすると、激しい音が途端に止まった。それからほんの数センチ扉が開き、ロックハートが隙間から顔をのぞかせた。

「……やあ、これはこれは――3人ともそろって何の様だい?」
「僕たち、先生にお伝えしたいことがあって来ました!」
「そうか……それは嬉しいんだけど、今あいにく取り込み中でね」
「取り込み中?」

 クリスは数センチ空いた隙間から、部屋の様子を窺った。部屋は心なしかがらんとしており、大きなトランクケースが3つ、床に転がっている。嫌な予感がしたクリスは、力づくで扉を開けるとずんずんと部屋の中心に入って行った。

「先生、これは一体どういう事なんですか?」

 色とりどりのローブの裾がはみ出ているトランクケースを指さして、クリスは冷たく言い放った。

「まさか逃げるおつもりじゃないでしょうね?」
「に……逃げるなんてとんでもない。ただちょっと――緊急に呼び出しをくらって……」
「そんな……それじゃあ僕の妹はどうなるんですか!?」
「そう、そのことなんだが……本当に申し訳ないと思っているよ」

 ロックハートはなるべくクリス達とは目を合わせずに、自分のポスターを丸めたり、机の中をまるごと箱に詰め込みながら喋った。

「しかし、私には私の都合と言う物がある」
「そんな!!彼方は『闇の魔術に対する防衛術』の先生じゃないですか」
「だが私がこの仕事を請け負った時には、こんな事は職務内容には――」
「だから逃げるって言うんですか?あんなに本を出すほど色々なことをした先生が!!」
「まあ落ち着いてよく考えたまえ、ハリー」

 この時、初めてロックハートはハリーの方を振り替えった。その顔はさっきまでのばつの悪い顔ではなく、開き直っている。

「もし私が書いたことを、アルメニアの醜い魔法剣士がやったと思ったらどうなると思う?どんなに大したことをやっても、本は全く売れない。大事なのは表紙であり、誰がやったのか大衆に夢を見させることなんですよ」
「それじゃあ、先生の本は全部嘘!!?」
「僕たちを騙してたんだ!」
「教師の風上にも置けない奴だな!!」
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