第26章 【狙われた少女】
そしてやって来た、ロックハートの引率の時間。ロックハートと言えば、ハグリッドが捕まってから「前々から彼が怪しいと思っていた」とか「彼が捕まった以上もう安心だ」とか「こんな厳戒態勢はもう必要ない」等と言って、この引率制度を不満に思っていた。
「不幸にも襲わてた生徒が目を覚ますと、皆口をそろえて言うでしょう『犯人はハグリッドだった』と。犯人が捕まった以上、もう見回りも引率も必要ないと私は思いますけどねえ」
「まったくもってその通りだと思います、先生!」
ハリーがロックハートの意見に賛成すると、ロンは教科書を落とし、クリスはつんのめりそうになった。
「分かってくれますか、ハリー?教師と言うのも意外と多忙でね。生徒を引率したり、学校中を見回ったり、もう大変ですよ」
「僕もそう思います、先生!」
今度はロンまでもがロックハートに賛同している。はじめは2人が気でもおかしくなったのかと思ったが、2人の視線を感じ、クリスもピンと来た。
「そうですよ先生、引率はもうこの辺で良いんじゃないでしょう?あとはもうそこの廊下の角を曲がるだけですし」
「おお、あなたもついに分かってくれるようになりましたか、ミス・グレイン!そうですね、あなた方の言う通り、生憎次の授業の準備に忙しくて――私はこの辺で失礼しますよ」
そう言いうと、ロックハートは本当に生徒を置いて廊下の奥へと消えて行ってしまった。まさか本当にこんな手に引っかかるなんて思わなかった。仕方なくロックハート無しでぞろぞろと廊下を歩き始めたグリフィンドール生を上手くやりすごし、急いで『嘆きのマートル』のトイレへ行った。これで計画はバッチリだと、錆た真鍮の取っ手に手をやろうとしたその時――
「――ポッター、ウィーズリー、グレイン!あなた方此処で何をしているんです!!」
まるで雷が落ちた様に、マクゴナガル先生の怒号が耳をつんざいた。作戦失敗どころか、これでは1人マイナス50点にされてしまう。何とかごまかせないかと、頭をフル回転させてみたが、良い案が浮かばない。その時、ハリーがとっさに言葉を発した。