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ハリー・ポッターと純血の守護者

第26章 【狙われた少女】


 一方、クリスはクリスで、自分を助けてくれたトム・リドルの事を思い出していた。この学校にトム・リドルという学生は居ないし、居たとしてもそれは50年前の人間だ。まさかトム・リドルのゴーストが自分を助けてくれたのかとも思ったが、ゴーストに生身の人間が運べるわけがない。となると……。2人に相談したかったが、今この状況で相談なんて出来そうにない。諦めてクリスも少しづつ夕食をつついていると、ハリーがまるで電撃が走ったように立ち上がった。

「もうえん、おういあの?あいー?」

 口に食べ物をいっぱい詰め込んだロンが質問した。ハリーは再びサッと席に着くと、クリスとロンの首根っこを掴んで無理矢理額を突き合わせた。その衝撃でロンは口の中に入っていた物をのどに詰まらせ苦しそうにもがいた。

「アラゴクが、女の子はトイレで死んでいたって言っていたけど――」
「みず……水ちょうだ――」
「もしもその子が、まだトイレにいたとしたら?」
「っみ、水……」
「水!そう、『嘆きのマートル』のトイレだよ!」
「っみ……」

 興奮したハリーにはロンの言葉は聞こえず、もう少しでロンは窒息死するところだった。やっとハリーが襟首を離すと、ロンはすごい勢いで水を飲み込んだ。

「――っぷは!じゃあなんだい、君は『嘆きのマートル』が50年前の被害者だっていうのかい?」
「確かに、可能性は十分あるな」
「でしょ!またパパの透明マントを使って確かめに行けば……」
「ストップ、マートルに何て聞く気だい?『やあマートル、君の死んだときの話をしてくれるかい』って?またヒステリックを起こして床を水びたしにするぜ」

 ロンの言う通りだった。マートルに話しかけても、有力な情報が得られる確証はない。意気消沈した3人だったが、次の日の午前中に、輪をかけてやる気を削いでくれる一言がマクゴナガル先生から発せられた。

「一週間後の6月1日から、学期末試験があります。皆さん、よく勉強しておくように」

 こんな時にまで試験とは、聞いた生徒はみな不平不満を通り越して驚きの声をあげた。しかしマクゴナガル先生曰く「こんな時にまで学校を閉鎖しないのは、皆さんがしっかり勉学に励むためです!」らしい。
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