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ハリー・ポッターと純血の守護者

第26章 【狙われた少女】


「クリス、クリス!目を覚まして」
「起きてよねえ、クリス!」
「……う、う~ん」

 頬を叩かれる感触で、クリスは目を覚ました。目を開けると、そこには心配そうな顔をしたハリーとロンが、クリスの顔をのぞき込んでいた。

「良かった、目を覚まして……僕、君がクモの餌になっちゃったんじゃないかって心配してたんだ」

 ハリーがエメラルドグリーンの瞳に涙をにじませながら、クリスの手をギュッと握った。ロンはその隣で未だ青い顔をしながらため息を吐いている。

「それにしても、君ってば凄いよ!よく無事だったよね。あの森の中から、禁じられた森の入り口まで逃げるなんて」
「禁じられた森の入り口?」
「覚えてないの?君、入り口付近で白い顔をして倒れていたんだよ」
「おぼえて、ないな……」

 覚えている事と言えば、トム・リドルと名乗る人間が自分を運んでくれた事くらいだ。どうやって助かったかなんてまるで覚えがない。
 周りを見渡すと、ハリーとロンが運んでくれたのか、ハグリッドの小屋のベッドに寝かされていた。ベッド際では、ファングが心配そうに「く~ん」と鼻を鳴らしている。もちろんトム・リドルという少年は居ない。やっぱり、あれは夢だったのだろうか。

「怪我がなかったんなら、もう帰ろう。あんまり遅くなったら皆に城を抜け出したってばれちゃう」
「そうだな、今ならまだ夕食に間に合うし!」

 こうなったらやけ食いだ!と、ハグリッドへの怒りを食い気で収めようとしているロンだった。大嫌いなクモに襲われ、大した収穫もなかったことにロンは怒りを露わにしていた。
 いったん透明マントを置きに談話室に戻ってから大広間に行くと、ロンは言葉どおりに口に食べ物をほおばった。その姿はまるでハムスターがほお袋に食べ物を詰め込んでいるかのようだった。
 反対に、ハリーはいつもより静かに食事をしていた。というより、心ここにあらずの状態だった。アラゴクの言っていたことを一生懸命反芻しているようだったが、あのアラゴクさえ口にしたがらない生き物とは何なのか、皆目見当もつかない。ただ間違いなくアラゴクよりも恐ろしい生き物だと言う事だ。
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