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ハリー・ポッターと純血の守護者

第25章 【蜘蛛の王】


「どうやら禁じられた森に向かっているみたいだ」
「はは、そりゃ良いや」
「とにかく追いかけるしかないな。ハリー、透明マントは?」
「部屋にあるよ。1度寮に戻らないと。次の引率者は……ロックハートだ、大丈夫、どうにでもなる!」
「よし、じゃあ透明マントを持ってきたらすぐ出発だ」
「すぐ!?それはちょっと無計画すぎないかい?」
「ロン、ハーマイオニーを助けたいのか?助けたくないのか?」

 ロンは地面を這うクモと、いつもハーマイオニーが座っていた席を交互に見やると、静かにコクッと頷いた。

* * *

 そして授業が終わり、ロックハートが引率にくると、クリス達は喋りながら気づかれないように列の後ろの方に回った。そして廊下の曲がり角にくると、――心の中で謝りながら――ディーンのカバンを魔法で裂いた。裂かれたカバンからは、詰め込んであった教科書やインク瓶、羊皮紙などがバラバラとぶちまけられ、列は一時騒然となった。その隙に、3人はグリフィンドールの寮に戻った。

「ちょっと待ってて、今取って来るから」
「ねえ、待った。本当にこれから行くのかい?もう少し遅くなってからでも……」
「これ以上遅くなると、夜になるぞ。そうなると危険が増すぞ?それで良いなら良いけど?」
「あー、分かった。行くよ、でも、あんまり僕を当てにしないでね。僕の杖はこんなだし……」
「大丈夫だ、ロンの杖は最初から頭数に入れてない」

 クリスの非情な言葉に、ロンは何も言えずに立ち尽くした。丁度そこにハリーが透明マントをもって談話室に降りてきた。3人で透明マントを羽織り、見回りの先生やゴースト達の間をすり抜けて城外へ出ると、いつの間にか分厚い雲が空を覆い、辺りを暗くしている。

「完全に日が沈む前に、森へ急ごう」

 校庭を横切り、ハグリッドの小屋へ着いた。するとファングが飛び出してきて、ハリーの顔をべろべろ舐めまわした。

「違うよ、ファング。餌の時間じゃないよ。お散歩の時間だ」

 さすがにこの数週間、飼い慣らしていただけある。ファングは「ワォン!」と一鳴きすると、森の入り口へ走って行って、礼儀正しくお座りをして待っていた。
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