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ハリー・ポッターと純血の守護者

第25章 【蜘蛛の王】


しかしロンはハリー達に抑えつけられたまま、何もできないでいる。それを見て気を良くしたドラコは今度はクリスの方を見た。

「それとクリス、もうダンブルドアはいないんだ。早く『こちら側』に来た方が身のためだぞ。元々君は『こちら側』の人間なんだ。ダンブルドアがいない今、学校の権限を握っているのは理事会だ。僕の父上に頼めば今すぐにでもスリザリン寮に入れてくれる。」
「……するな」
「なんだって?」
「その腐った口で二度と私の名を口にするなっ!!!」

 怒鳴るのと同時に、クリスの目から涙が2、3頬を伝い流れ落ちた。それを見たドラコは何か言おうとしたが、その前にクリスが涙をローブの袖で乱暴にこすると、スネイプが薬草学に引率する生徒の中に紛れ込んでいった。薬草学の温室までの道が、外だったのが良かった。自然の風にふれて、少し興奮が収まっていくのを感じた。クリスは温室に入る前、両手で自分の頬をピシャリと叩いた。

 温室に着くと、なんとアーニー・マクミランが3人に向かって頭を下げてきた。

「ハリー、君を一度でも疑ったことを申し訳なく思っている。君が親友を襲うなんてありえない。それなのに――変な噂をたてて、本当にすまない」
「分かってくれたなら、もう良いよ」

 わだかまりが解けると、ハッフルパフ生と一緒に、誰がスリザリンの後継者なのか小さな声で話し合った。ハッフルパフの生徒は全員がドラコがスリザリンの後継者だと思っていると言ったが、ハリーがそれを否定した。そんな事より、ハリーは大事なものを見つけて慌ててロンとクリスに目配せした。
 ハリーの視線の先には、大きなクモが数匹ガサゴソ地面を張っていた。

「ああ、こりゃ良い兆候だ」

 全くそう思っていない口調で、ロンが言った。ハリーとクリスは今すぐ追いかけたい心境にかられたが、授業を抜け出すわけにもいかない。それに今はアーニー・マクミランもハンナ・アボットもこちらを見ている。ハリー、ロン、クリスの3人は額を合わせて小さな声で喋りはじめた。
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